青空の下で運動会の全体練習です。0~2歳児のチビちゃんたちも西文ひろばで躍動しました。チビちゃんたちが帰った後は、寺子屋園児たちの30メートル走と紅白対抗リレーの練習です。リレーは、1回では満足しない子どもたちです。「もう一回やりた~い!」と、2度目のレースがスタートしました。そして、最後は、園長とトラック1周の競争です。最後の直線で、園長がマジ走りになるくらい年長園児の走力がアップしています。
さて、今日は、アクティブラーニングの実践やジャンダーギャップ指数の教育分野で全国1位の広島県の教育改革を取り上げます。
瀬戸内海の離島、広島県大崎上島(おおさきかみじま)にある、中高一貫校「広島叡智(えいち)学園では、授業のない時間には、生徒が一人芝生で寝転んで考え事をしていた。ここは、今話題の国際バカロレア認定校です。しかも公立校です。1年で全国から1000人もの視察が来るくらい注目されています。中学卒業時に、自分の興味関心を掘り起こしてレポートを作る授業が週に一度あります。ある生徒は、植物と生物と農業に興味があり、土壌に化学肥料を入れすぎる環境問題を自然の力で解決することに魅力を感じ、実際にバクテリアの一種の根粒菌が、どれくらいマメ科の植物に影響を与えるのか実験してレポートを書きました。その生徒は「地域の方に協力してもらい、専門家の意見も聞くことができて、研究って大変だけど楽しいなと思いました。文系か理系化に分かれず、分理が混ざった勉強ができ、大学進学も問題ないというのも魅力的です」と言います。
私が勉強会に参加している「イエナプラン教育」の公立校の開校を広島県の教育委員会がバックアップしました。ここは、小学校ですが、異年齢教育をしています。また、不登校の子どもの居場所作りにも積極的に取り組んでいます。
広島県の教育改革は、すぐにできたことではなく、10年前には始まっていました。当時の話し合いでは、「学力調査の全国1位になることよりも、これからの時代は新しい価値を生み出せる人材の育成に力を入れるべきじゃないかという話になりました。有識者会議を立ち上げたところ、今の子どもは自分の意見を言ったり、自分で考えて行動するのが苦手だという指摘があり、子どもがいろんな人と協働する教育をデザインすることになりました」となり、今では、当たり前に言われる「アクティブラーニング」の授業スタイルを広島県では、10年前からチャレンジしてきたのです。当時は、「そんなのできませんよ。無理です!」と現場から言われるほど、逆風だったそうです。
今年の3月まで、広島県の教育長を務めた平川理恵さんは、横浜で民間人校長を経て、広島県の教育長になる異色の経歴の持ち主ですが、彼女が広島県の教育リノベーションを引っ張ってきました。
「今の学校は『みんなと一緒』と教えすぎています。受け狙いの上っ面のプレゼンとか、テストに強い子とか、根源的ではない授業を続けていくと、『いつも元気で明るいが人間的に深みがない』とか『テストには強いけど、人生が何たるかわかっていない』という人間になってしまいます」と言って、改革に取り組んだのです。彼女はリクルート出身ですので、発言がストレートですね。
これが東京なら、中学受験が盛んで、早い年齢から塾に行ってコスパよく勉強する風潮が強いのが現実です。広島県の取り組みが、日本全国どこの自治体にも当てはまるとは言えませんが、「ちゃんと考えて自分で答えを出すこと」「自分は、みんなと同じで本当にいいのか?」については、子どもたち共通の課題ですね。日本の教育環境が、今後変わっていくのです。