今日は、屋上ファームで「サツマイモ」の芋掘りをしました。子どもたちが、ファームで収穫をするのは、本当にこれが最後です。土の中から「うんとこしょ・どっこいしょ!」と言いながら、サツマイモのつるを引っ張る子どもたち・・・いつもの光景です。でも、これが本当に最後です。(涙)夏の暑さの影響か、大きなサツマイモはあまり収穫できず、不作に終わりましたが、子どもたちの楽しみは、土の中から現れる幼虫たちです。大いに盛り上がっていました。(笑)
さて、横浜の山手にある聖光学院は、中高一貫の男子校です。校舎が、あのコミック「ドラゴン桜」のモデルになった建物です。実は、この高校は、東大現役合格者数が86人という進学校としても有名です。ここは、「ドラゴン桜」のストーリーともかぶります。東大合格者数1位の開成高校でも現役合格率は3割ですが、聖光学院は4割です。さぞ、勉強漬けの毎日を送っているかと思えば、そうではなく、年間スケジュールには、キャンプに宿泊旅行、海外視察、一大イベントの文化祭などの行事がめじろ押しです。
「聖光は、とにかく行事が多い。コロナ禍の中でも、校長先生が意地でも行事を中止しなかった」と、生徒は語ります。その校長先生の名前は、工藤誠一さんです。
「『成績』というたった1本の旗を取り合うのではなく、ひとりひとりが得意分野や個性に合わせて自分の旗を取りに行けるよう、様々な舞台を用意しています」と工藤校長は語ります。トップダウンで指示するタイプではなく、どちらかと言えば、生徒や教師陣のやりたいことをサポートするタイプのリーダーのようです。
勉強については、「課題やテストを通じて、生徒にコツコツ学習する習慣を身に付けさせるのが本校のやり方。長い時間をかけて、『周りもやっているからべんきょうしなきゃ』という雰囲気をつくってきたのです」とあるベテラン教師が語ります。
工藤校長は、2004年に校長へと就任すると「聖光塾」などの課外教育を充実させると同時に、帰国子女を対象とした英語のクラスを導入したり、クラスを分けて個別指導や補習も行い教育の底上げに取り組みます。生徒にグローバル水準を経験させるために、欧米やアジアなどでの海外研修も多数設けます。「いろんなことに挑戦すれば、複数のタスクを整理し優先順位をつけることや、それぞれへの時間配分もうまくなる。生徒にも教員にも20年以上『複線の人生を設計しよう』と言い続け、校風としても根付いてきたと思います」と工藤校長は語ります。
教師に大事なのは志を持ち、夢を語ることと言います。「教師が『夢みたいなことを言うな』と生徒を叱ったら、子どもたちはもっと夢を持てなくなる。学校の経営者は教員の生活を安定させ、思索の時間を確保することで、夢を語れる環境をつくるのが仕事なのです」と熱く語ります。
でも、ちょっと待って・・・これだけ東大の合格率が高い学校なら、優秀な生徒が集まって来るから、こんな取り組みができるんじゃないの?と思ったあなた・・・
工藤校長は、「確かにイベントが多いのも、生徒に運営を任せられるだけの力があるからです。ただ本校で教える私たちの使命は、目の前にいる優秀でいろんなことに目配りできる子たちを、もっと優秀で目配りができて、さらに思いやりのある子に育てることです」ときっぱりと言います。
思いやりのある子・・・成績が優秀であろうがなかろうが、ここを目指すのは、教育としては、間違いないですね。