イチローが女子高生と戦うわけ

ようやく秋らしい陽気となり、運動会の練習でも子どもたちはキビキビと動きます。疲れを感じないのか、紅白対抗リレーは、2レース行いました。そして、今日の寺子屋は、運動会のポスターに使用する絵を描きました。30メートル走・紅白対抗リレー・サーキットレース・ダンス・玉入れ・綱引きと、今まで練習してきた種目を子どもたちがチョイスして描いています。西文ひろばにポスターが掲示されると、「いよいよ運動会!」という気分になってきます。

 

さて、今日は、昨日のイチロー選手の試合について話します。女子高校生日本選抜と、イチロー、松井、松坂といった夢のビッグスターがチームを組んだ試合です。もちろん、私は最初から最後までじっくりとテレビ観戦していました。東京ドームには、プロ野球の公式戦でもないのに、およそ3万人の観客が集まりました。

 

試合は、いきなり、イチロー投手が、打ち込まれ、初回に3失点で、「さすがのイチローも衰えたか・・・」と思ったものの、最終回には、松井秀喜のホームランなどもあって、イチローチームが大勝します。コテンパンに、女子高生が負けます。そう、イチローは本気だからです。でも、生まれて初めて、投手として10安打以上打たれます。イチローは、高校時代は投手でしたが、ここまで打たれたことはありません。ふだん、女子高校生のピッチャーのストレートは、120キロ行けば速い方です。イチローのストレートは137キロですので、やはり、女子高生チームが強くなったのです。

 

松井のホームランがあまりにも劇的だったので、テレビ的には、「イチロー&松井&松坂」の3ショットを盛り上げていましたが、試合後のイチローは、女子高校生たちの「敬意の姿」を褒めたたえていました。「こんなすがすがしい気持ちで野球をしたことはない。君たちは素晴らしかった」ときちんと、この試合の目的をメッセーで残したのです。

 

イチローの女子高校生選抜との試合は、これで4年目です。「男子は高校野球、大学野球、プロ野球、MLBと僕が関わらなくたって、もう勝手に盛り上げてくれる人がいるから、言ったら僕なんか必要ない。いなくたって別にいいわけですよ。男子は、うまい子はプロに進むという『箱』があるわけですよね。プロ野球をやっている人には先にMLBがあったりするわけで、女子にはまだそれがない。でも、女子の野球人口が増えてくれれば、そういう可能性がでてくるわけです」とイチローは言います。彼が真剣勝負をするのも、これが、遊びの延長ではないことを示したいからです。

 

こうして、「イチローさんと試合がしたい」という女子校生が増えているそうです。そして、2年目から、この考えに賛同した松坂選手に、今年は、WBCでさえ大人の事情で欠場した松井秀樹選手も、イチローの考えに共鳴したのです。

 

ほんの数年前までは、女子のプロ野球リーグがありました。でも、興行で利益を出す、選手にまともな給料を出すことができなくなりました。イチローの行動は、あらためて、女子野球の未来を担っているのです。そんなイチローにますます魅力を感じるのです。