お彼岸に、ようやくヒガンバナこと曼珠沙華(まんじゅしゃげ)が間に合ったかな?と言った感じです。埼玉県の有名なヒガンバナの名所「巾着田(きんちゃくだ)」では、今日の段階でも、まだ1分咲きほどだそうです。この暑さの影響で開花が遅れています。赤色の神秘的な姿は、今月末にならないと見られないようです。
「はて?」と聞いて、ピンと来た人は多いと思います。日本初の女性裁判所長「三淵嘉子」さんをモデルにした、朝ドラ「虎に翼」で、ヒロイン寅子の決めゼリフというか、このドラマの象徴的なつぶやきです。ついつい、私も感化されて、これは、少しおかしいなぁ~と思った時に、「はて?」を使ってしまいます。(笑)
ドラマの方は、今週がいよいよ最終週ですので、金曜日の結末を楽しみにしておくとして、このドラマは、ただの女性の権利という枠を超えて、様々な要素が詰め込まれた、壮大な内容だと感じています。主人公寅子の明るい性格や、「はて?」や変顔など、笑えるシーンがたくさんあるので、毎日が楽しいドラマになっていますが、扱う内容は、とても奥深いです。
夫婦別姓については、いまだに法律的には認められていませんが、自民党の総裁選挙で、これを口に出せば、世論からは「よくぞ言った!」となるものの、党内の多くの議員が、「旧姓の通称使用」を支持します。会社では、旧姓を名乗り、戸籍では夫の姓という女性は、とても多くなりました。主人公の寅子の「はて?」は、姓が変わることで、これまでの自分が消えるような気がする。「星寅子」になれば、「佐田寅子」つまり「弁護士として生きた自分、裁判官として生きてきた自分、たくさん失敗をして前に進んだ自分」、その経歴、歴史が消える気がすると、言ったのです。
寅子の再婚のシーンでは、裁判の形を取った結婚式を仲間が演出します。「同じ姓を名乗るか、それぞれの姓を名乗るかは、夫婦間で自由に決定するべきである。それは憲法により保障された権利のはずである」と主張する人たちの個々の理由は様々でしょうが、ここでは、「自分のことは自由で決める、名字だって、生き方だって・・・」を強く感じる名シーンでした。
そして、今まで何度も朝ドラで描かれてきた「戦争」です。「虎に翼」では、戦争前の寅子が卒業した明律大学法科の同級生たちの姿と、戦争後に再会したシーンまでとても丁寧に描いています。過去と現在は、ちゃんとつながって歴史を作っている。戦争は、今を生きる人間の「責任」とまで踏み込んでいます。このドラマで、原爆裁判を考えることは、戦争を知らない私たちのような多くの日本人が、戦争を知るきっかけにもなります。
こう考えると、「はて?」には、壮大なテーマと問題意識が込めらえていると、私は感じるのです。大げさと思うかもしれませんが、寅子の「はて?」をかみしめながら、今週の朝ドラを楽しみたいと思います。