ドクターイエローが引退してしまうことは、ご存じですね。JR東海が2001年に投入した4代目のドクターイエローが来年1月、JR西日本が2005年に投入した5代目は2027年に引退します。4代目も5代目も2020年に引退した新幹線の700系をベースにしたもので、270キロでの検測が可能になり、営業時間帯でのダイヤ設定もたやすくなりました。現在は、4代目、5代目の2編成が交互に、約10日間に一度のペースで、東京と博多間を2日間かけて往復しています。
「見れば幸せになる」と言われるのは、時刻表に載っておらず、いつ走るのかは非公開であることと、頻繁に運行していないので、遭遇する機会が少ないからです。いつからか「幸せの黄色い新幹線」と呼ばれるようになりました。
ドクターイエローは、新幹線のお医者さんと言われるように、「新幹線電気軌道総合試験車」が正式名称です。例えば、1号車は「電気検測室」で、無線や信号などに異常がないかをチェックしています。4号車は、レールのゆがみや上下、左右の高低差などを0.1ミリ単位の精度で検測します。こうして、1号車から7号車まで、それぞれに役割があります。
引退の理由は、「車両の老朽化」です。新幹線車両の耐用年数は20年余りと言われる中で、4代目はすでに20年を超えています。鉄道ファンの間では「ついに来るべき時が」という声も上がっていました。
では、新しいドクターイエローが登場するの?と思う人も多いでしょうが、後継車両はありません。営業車両で、ドクターイエローと同等以上のデータ検査ができるそうです。つまり、現実的な話をすれば「引退は老朽化を機としたコストダウン」です。年間、数十億円のコスト削減となるようです。
ということで、ますます「ドクターイエロー」は、幻のヒーロー感が増しているのです。ネットでは、運行予測なるサイトもありますが、「偶然」出会うことが、幸せを呼ぶことになるのかもしれませんね。
ちなみに、JR東日本の新幹線では、ドクターイエローは走っていませんが、「イーストアイ」が、その役割を果たしています。こまち号のE3系をベースとする赤と白の検測専用車両です。こちらも、運行日程が公表されていないために「幻の新幹線」呼ばれています。
夏休み・・・お子様と一緒に「ドクターイエロー」「イーストアイ」に出会えれば、「幸せになれるぞ!」と根拠があいまいな呪文を唱えましょう。(笑)