世界に目を向ける授業

昨日、さっそくサマーキャンプのDVDを見た年長園児保護者は、「百聞は一見に如かず」で、子どもたちの活動の様子を見て、「こんなに頑張ったんだ!」と、あらためて我が子の成長を感じたようです。「先生の話を聞いていない・・・友だちとトラブル・・・食事の時に肘をつく・・・」と我が子のダメ出しを嘆くママも。でも、プラスマイナスでも100点ですね。(笑)

 

パリオリンピックが盛り上がっていますが、「パリ大会では、どんな環境に優しい取り組みがされているかな?」と、小学校6年の総合学習の授業で担任の岩本先生が問いかけます。児童からは、「元からある施設を使う」「プラスチックゴミを減らすため、ペットボトルの持ち込みが禁止されている」などの答えがあがります。この授業のテーマは「オリンピックは何のために行われるのか」です。答えが一つではないですね。子どもたちが考える授業です。

 

岩本先生は、普段から国際理解を深める授業を行っています。社会で食料生産を学ぶ単元では、児童が持ち寄った食品ラベルを世界地図に貼って示します。国語で戦争を題材にした教材を使う時は、ウクライナ情勢に触れます。子どもたちに、「世界の問題を『自分ごと』として考えてほしい」からです。

 

岩本先生の原点には自身の体験があります。長野五輪のとき、5歳だった岩本さんは選手村の近くに住んでいて、千代紙でおひな様を作り、散歩する外国人選手にプレゼントしたそうです。喜んで受け取ってくれた選手が印象に残っています。お返しにもらったフランス国旗がついたキーホルダーは今も宝物だそうです。小学校6年の時に、1990年代の内戦で20万人が死亡したボスニア・ヘルツェゴビナへ現地訪問団として加わります。子どもたちは明るく「自分と変わらなかった」けど、街に出ると屋根と骨組みだけの建物があり、「明るさと現実の厳しさ。復興と爪痕。交流は楽しかったが、強烈な体験だった」と振り返ります。

 

やがて進んだ信州大学の図書館で手に取った本にはこんな一文があったそうです。「教育で世界は変えられる」この時、教師となって子どもたちの成長に携わりたいと思ったそうです。

 

岩本先生は、長野五輪のおかげで、世界に近づく経験ができました。世界に目を向けてくれるような授業を実践していくことで、教え子たちがより良い世界を作る一員になってくれることを楽しみにしているそうです。

 

やはり、子どもの頃に体験・経験した出来事は、大げさな言い方ですが、人生に大きな影響を与えるのです。サマーキャンプを経験した保育園の年長園児たちも、何かをつかんでくれたらうれしいですね。