サザエさんの「昭和図鑑」⑦ 場所

昨日行った、わたらせ渓谷鉄道の始発駅「桐生」から200メートルほど歩くと、「西桐生」というレトロで小さな駅があります。上毛電鉄の始発駅です。「中央前橋駅」という、JR前橋駅からかなり離れた場所までの区間を1時間かけて走ります。昭和の時代に、京王井の頭線で走っていた車両が現役で活躍しています。上毛電鉄は、自転車を車内に持ち込むことができて、地元の高校生が通学に使用し、住民がちょっとした買い物に自転車で乗り込みます。

 

上毛電鉄は、スイカやパスモといったICカードは使えません。もちろん、自動改札ではなく、改札口では、駅員さんが特殊な鋏で、入鋏(にゅうきょう)します。このシーンわかりますか?切符に、鋏を入れることで、使用開始を示したのです。この入鋏作業が、いつのまにかスタンプに代替えされ、今では、当たり前の自動改札となり、スタンプも姿を消すのです。改札で駅員が、鋏をカチカチさせる音が、またたまらなくいいのです。上毛電鉄には、「改札口で駅員が鋏を入れる」場所が、まだ残っていたのです。

 

駅には、今はなくなってしまった場所が、まだあります。何かわかりますか?そう、「伝言板」です。私もこの伝言板を書き込んだことがあります。「太郎へ・・・もう待ちきれないから、悪いけど先に行ってる。次郎」のようなメッセージです。これが、1990年代には、携帯電話の普及が進んだことから、必要性がなくなりました。また、落書きが増えたことで、伝言板の役割も消えていったのかもしれません。

 

私が学生の頃、駅で待ち合わせをしている時に、「伝言板」を読むのが楽しみでした。中には、イラスト付きの芸術的なメッセージもありましたね。令和の今は、携帯で簡単に検索できるので、待ち合わせ駅に遅れることも少なくなりましたが、昭和のアナログ時代では、「○○駅まで、だいたい1時間くらいだろう」と、勘に頼っていました。早く到着するか遅刻するか、その人の性格次第でした。私も、大学時代にデートの約束で、池袋駅に待ち合わせをしました。時間になっても彼女は現れません。30分経過して相手の家に電話すると「家を出た」とのこと。こうなったら、意地でも待ってやろうと、本1冊読み終えてしまいました。待つこと2時間、これは、今でも破られることのない、私の待たされ時間の最高記録となりました。家を出るのが30分遅くなったことと、バスの大渋滞が理由でした。2位間も待つと、怒りを超えて、悟りの境地になり、一切文句を言わなかった自分を思い出します。(笑)

 

昭和の駅にあった「伝言板」・・・令和の駅で見つけることができたら、うれしいですね。手書きのぬくもりがいいのです。