フェアトレード拡大

卒園式の練習が進んでいます。卒園児の中には、「泣きそうになっちゃうよ」と言う園児もあれば、年中園児の男の子は、お世話になった先輩との別れがカウントダウンになってきたので、気持ちは複雑のようです。

 

さて、「フェアトレード」という言葉をご存じですか。保育園のあるショッピングセンターのコーヒー売場には、フェアトレード商品が並んでいます。先進国の企業や消費者が、発展途上国の生産者に適正な対価を払って商品を購入する仕組みです。かつては、途上国からの買い付け金額を叩いて、労働者を搾取するようなことが多くの国や企業で行われていました。コーヒー豆はその代表的な商品です。

 

日本のフェアトレードの草分け的な店舗は、1998年に開店した「ピープルツリー自由が丘店」です。店内には、バングラデシュの籠や、ボリビアのカカオのチョコレートなど約1000点が並びます。現在は、18か国の145の生産団体と取引しているそうです。

 

「『収益は、子どもの就学支援に使われます』など、1つ1つの商品にストーリーがあるのが、フェアトレード商品の魅力です」と店主の鈴木さんは語ります。私たちは、買い物で「モノ」を買うわけですが、そこに、購買意欲がそそられるような「コト」があると、買い物が楽しくなりますね。理由もなく(コトがなく)安いだけでは、モノは売れません。

 

フェアトレードの歴史は意外と古くて、1946年、アメリカのキリスト教系のNGOが、プエルトリコの貧しい女性が作る刺しゅう製品を購入し、教会で販売したことが始まりと言われています。途上国の生産者と家族が人間らしい生活を送れるように、公正な対価を支払うのが基本です。

 

日本でのフェアトレードの市場規模は、2022年は196億円です。「少ない!」と思った人が多いと思いますが、それでも、前年比124%で、2015年の倍になったようです。SDGs(持続可能な開発目標)や、環境や社会に配慮した商品を選ぶ「エシカル消費」への消費者や企業の関心の高まりが要因です。

 

しかし、国際フェアトレード機構の本部があるドイツの市場規模は日本の17倍です。欧米でフェアトレードが盛んな背景について「植民地にしていた途上国へのしょく罪意識もあるのでは」と言われていますが、まだまだ日本の市場規模は、大きくなることは間違いなさそうです。

 

名古屋市では、毎月5月に、全小学校で、フェアトレード食材を使った給食を提供しているそうです。神奈川県逗子市も5月に、飲食店約30店と協力してフェアトレード食材と地元の野菜や豚肉を使ったランチを出したそうです。

 

意識の高い人が、少しずつ増えているようですね。フェアトレード商品は、安い価格ではないことが多いです。でも、10回に1回の買い物でもいいので、無理のない範囲で、フェアトレード商品を買ってみてほしいと、関係者は語ります。

 

私が買うのは、コーヒー豆ぐらいですが、さらに意識を高めようと思います。