3日連続で、屋上は強風です。しかし、多くの園児が「子どもは風の子」になって、風を切って走っている姿に、なんだか、うれしくなりますね。
先日、小学校1年生の授業参観に出席し、卒園児の男の子のクラスに行ってみると、「○○君は、給食の時に具合が悪くなって、保健室にいるよ」とクラスの子が教えてくれた。保健室を訪れると、男の子は、ベッドで静かに寝ていました。保健室には、3つベッドがあり、ソファでは、子どもの話を聞いている養護教諭の姿がありました。
学校の中で、保健室は子どもたちにとって、欠かせない「居場所」ですが、今日は、東京都足立区にある小台橋(おだいばし)高校の保健室の話です。保健室の役割は、心身の不調で駆け込む生徒の訴えに耳を傾け、校内で共有。教員らと一緒に、生徒の成長を話し合う場ともなっているようです。
小台橋高校の保健室には、毎月延べ約100人の生徒がやってきて、二人の養護教諭が対応します。「他の高校と比べて、人数は多くない。けれど、対応に時間が必要な生徒が多い」と言います。
「教室に入れなくて、話を聞いてもらえますか」と一人の生徒がソファにぐったり座り、小さな声で切り出します。「朝、どうしていいかわからなくなって。また朝からやっちゃった」・・・手首に、刃物で傷つけた痕があります。二人の養護教員は傷を確認し、包帯を巻きながら「それで、落ち着いたの?」と尋ねます。家族や友人との関係、将来への不安、など生徒の話を丁寧に聞いてから言葉をつなぎます。「しんどいのは分かるけど、下手すると取り返しがつかなくなることもあるからね。そのことだけは、わかってほしいな」と、否定せずに諭すように語ります。生徒は落ち着いて30分ほどで保健室を後にしました。
もはや、養護教諭の役割は、傷の手当にとどまらず、心理カウンセラーでもありますね。二人の教員は、「私たちの対応は、先回り過ぎでは」「面倒を見るだけでは学校として不十分ではないか」と生徒たちへの接し方を意識します。「少し休んでいく?」と生徒に提案するのではなく、「あなたはどうしたいの?」と聞いて、生徒が自分の考えをまとめて言葉にし、自発的に動くのを辛抱強く待つようにしているそうです。
保健室には、生徒だけでなく教員も相談にやってくるそうです。ある教員は、「何でもやってあげて『優しい先生』と思われたい気持ちはある。でも、そのまま社会に送り出すのは、教員として無責任かもしれない。だから生徒が成長できるよう、背中を押したい」と言います。
心に傷を負ってしまった生徒の対応は、とても難しいですね。一人一人、かける言葉も違います。しかし、最後は、「自分で考えて自分で答えを出す」ことにつながるような対応ができれば、生徒の前に立ちはだかる壁が、1枚かもしれませんが開かれたことになります。保健室の先生の役割は大きいですね。