火災報知器点検の仕事

昨日の寺子屋は書道だったのですが、年長園児の課題は「そつえん」です。保育園の壁面に、子どもたちの「そつえん」の作品が並ぶと、いよいよだなぁ~と思ってしまいます。特に、卒園児の保護者にとっては、卒園式迄の日々は、感慨深いものになると思います。

 

さて、保育園の教室内には、ちょうどキッチンの上の天井部分に、火災報知機が設置されています。幸い、保育園が開園してから、この火災報知機が反応して、天井にある複数のスプリンクラーから放水されたことはありません。保育園の火災報知機は、年に2回ほど、長い棒のような機器で定期点検が行われます。皆さまも、オフィスなどで見たことがある人も多いのかと思います。

 

火災報知機がきちんと作動するかどうかの定期点検は、消防法で義務付けられています。そして、定期点検ができるのは「消防設備士」の資格がある人です。私は、誰でもできると思っていましたが、資格がないといけないそうです。消防設備士は、建物の管理者の依頼を受けて、火災報知機だけでなく消火器などの設備もチェックします。マンションやオフィスのほか、劇場やごみ焼却施設なども対象だそうです。

 

保育園ホワイトきゃんばすが入る、ショッピングセンターのような施設は、当然、グループ内の関連業者できちんと行われていますが、その他の施設では、「火の気がないから大丈夫」と点検をしないところも多いそうです。少し古いデータですが、2010年度の全国の点検報告率は、わずか40%だったそうです。6割が定期点検を怠っていたのです。

 

実は、この消防設備の定期点検をする業界は、もともと、大手デベロッパーや管理会社の下請けとして点検をする、多重下請け構造だったのです。6割も定期点検されていないというのは、大手デベロッパーに属していないビルや企業が、定期点検をどこに頼めばいいのか、わからなかったのです。

 

これをビジネスチャンスにしたのが、テックビルケア社長の茶橋(ちゃばし)さんです。もともと父の経営する会社は、ビルクリーニングでしたが、メイン事業を防災インフラ事業に変えたのです。

 

業界のからくりと、どこに需要が眠っているのかが分かれば、行動は見えてきます。まずは、自社のホームページを充実させると、全国の法人や建物オーナーから依頼が舞い込みます。下請けではないので、中間マージンなどがカットできて適正価格を設定でいるようになります。そして、10年で利益を10倍にしたそうです。

 

2023年の全国点検報告率が、55%にアップしたのもテックビルケアの受注が増えたからです。でも、45%が定期点検をしていないので、まだまだ需要がありそうですね。

 

もし、あなたが「起業」を考えているのでしたら、一番は「やりたいこと」を追求すべきでしょうが、こうして、業界のすき間を調べるのもありですね。そう簡単ではありませんが、ふと身近なところにチャンスが転がっているかもしれません。