女性の35年年表⑤ 婚活

昨日の夕方は、ちょうど猪苗代湖の周辺を車で走っていました。すると、緊急地震速報の聞きたくないアラームが一斉に鳴ります。すぐに、ナビの画面をテレビ画面に切り替えると、石川県を中心に、大きな地震があったことを告げています。すぐに、固定カメラやドローンでの映像、そして、一般の人たちからの投稿映像がアップされます。画像での情報が、すぐに伝わる時代になったことを感じましたね。同じ1月に起きた29年前の「阪神淡路大震災」では、携帯も普及していない時代でした。具体的な情報が伝わるまでに、ずいぶんと時間がかかった記憶があります。

 

元日なので、帰省で石川県や富山県、新潟県でのんびりとお正月を過ごす予定の人も多かったと思います。新潟県上越市に実家がある保育園ママがいます。上越市の津波で、川を伝って橋を走行するタクシーを津波が襲う映像には驚きました。すぐにタクシーが動き出したので、本当に良かったです。具体的な被害状況がこれからわかってくると思いますし、新幹線や在来線、高速道路も早く運転運航再開を願います。避難所で過ごす方々の気持ちを察すると、なんとも言いようがありません。

 

さて、私の学生時代は、就職活動を「就活」と略して言うことはありませんでした。2000年に入ってから、言われるようになったようです。同じように「婚活」という言葉が、広がったのが2008年です。結婚をすることを目的に意識的な活動をすることを意味する言葉が「婚活」です。就職活動の略が就活ですが、婚活は結婚活動の略ではないようです。

 

中央大学(家庭社会学)の山田昌弘教授とジャーナリストの白河桃子さんの共著「『婚活』時代」がきっかけで、広がった言葉です。

 

女性の結婚観は、時代ともに変化します。70代後半から80年代前半にかけて、雑誌「クロワッサン」がかかがるシングル賛歌が、一部の女性の支持を集めます。「結婚して子供を産むことだけが、女の幸せではない。仕事を続け、シングルを謳歌しよう」といった考えです。しかし、結果として婚期を逃す「クロワッサン症候群」という言葉も生まれました。結婚するかどうかで女性や社会で議論があった時代から、いつの間にか結婚や妊娠を歓迎するムードに時代が変わっていきます。それを象徴するのが「結婚潮流」という1983年に大阪で生まれた、平均年齢24歳の女性編集者陣の女性誌です。一般的な女性誌は、当時恋愛を多く扱っていましたが、「結婚潮流」は、理想の恋愛と切り離して「結婚」を読者に提示したのです。「恋愛と結婚は違う」「理想の妻と理想の恋人」といった言い方をするようになったのも、この頃ですね。

 

そして、1990年代に女性の生き方を象徴する雑誌が「Hanako」です。会社からも家庭からも解放されバブルの時代を謳歌した女性は、「子どもを産むために結婚はするけれど、それまでは仕事も遊びも楽しむ」それが、「Hanako」の時代の結婚観だったようです。でも、「Hanako」では結婚特集はほとんど組まなかったそうです。1993年に結婚雑誌に特化した「ゼクシィ」が登場すると、どんな結婚式を演出するか…までも注目されるようになったのです。

 

時代は繰り返されるとは言いますが、私の両親は「お見合い結婚」です。おせっかいなおばさんがいたかどうかは聞いていませんが、現代の婚活アプリは、信用できるものを選べば、かつての「おせっかいおばさん」の役割と一緒かもしれません。いや、それ以上に相性がいい組み合わせをAIが考えてくれるのです。

 

ここまで、女性の立場での「婚活」の歴史をたどってきましたが、男性の場合は、このような解説ができません。やはり、「婚活」は、女性がリードしてきたライフスタイルなのでしょう。そして、結論は簡単で、人それぞれ・・・色々な考え方があるので、こうあるべきという押しつけは不要なのです。