少年野球監督 辻正人

ラグビーワールドカップの試合は、ずっと早起きして観ていましたが、昨日の決勝トーナメント進出がかかったアルゼンチン戦は、昼の試合で、日本ではゴールデンタイムでした。結果は、負けてしまいましたが、観ている私たちも納得の試合です。やれるだけのことをしたけど、相手が少しだけ強かったという結果です。まだ、日本のラグビーは伸びしろがあるということです。日本代表のメンバーに感謝とお疲れ様ですね。

 

さて、今日は、少年野球監督「辻正人」さんの話です。先日のNHKプロフェッショナルで放映されました。彼は、公務員をしながら20歳の時に、地元滋賀県多賀町に「多賀少年野球クラブ」を創設します。すでに指導歴35年です。今では、県外からも多くの少年たちが、このチームに集まって来るそうです。

 

「多賀少年野球クラブ」の実績は素晴らしく、少年野球の2大大会である「マクドナルド・トーナメント」と「全国スポーツ少年軟式野球交流大会」で、計3度の日本一となっています。それを導いたのが辻監督です。

 

彼は、少年野球クラブの設立時から「勝つ野球」に取り組みます。「勝つための練習」「勝つための技術」にこだわります。チームは、常勝を続けるのですが、クラブの人数は、なかなか増えなかったそうです。

 

辻監督は、「勝つためのチーム作り」でいいのか?と自問自答します。そして、出した結論が、「子どもたちが野球を楽しむこと」でした。練習方法も変えます。森の中の切り株や倒れた丸太の上でキャッチボールをしたり、「ヒットを打って一塁ベースをまわるシーン」をイメージ練習させたりします。最初は、恥ずかしそうにガッツポーズをする子どもたちが、どんどん大げさなパフォーマンスになっていき、楽しんでいるのです。

 

極めつけは、全国大会の試合中に、ノーサインで試合を行っているのです。えっ!?野球でノーサインってどうゆうこと?と思った方も多いでしょう。辻監督のノーサインは、「勝手にやっていいよ!」ではなく「次の手をどうするかは、自分たちで考えなさい」という野球です。そうすると、小学生が「ここの場面では○○が、一番有効だ」と考えて、自分たちが考えた作戦を実行するのです。もちろん、監督の判断のレベルではないので、失敗することだってあります。しかし、辻監督は、それが子どもたちの成長につながると確信するのです。

 

多賀少年野球クラブからは、30人以上の甲子園球児が活躍してきました。「考える野球」の申し子ですね。東北楽天イーグルスの則本投手もこのクラブの出身です。

 

「楽しんで勝つ」・・・保育園の子どもたちを見ていると、何に取り組もうが、やっぱり楽しむことが、とっかかりです。子どもたちの「楽しい!」を伸ばすことが、私たち大人の役割であることを辻監督から、あらためて教わったような気がします。