「J」~やけどするような恋愛~

昨日は、想定外のニホンイシガメ6匹誕生でしたが、今日は、クサガメが1匹誕生しました。どちらもかわいいですね。相変わらず、子どもたちは、ニホンイシガメもクサガメも同じ赤ちゃんガメとして認識していますが・・・今年生まれる子ガメたちも、しっかりと飼い続けます。昨年生まれたクサガメたちは、甲羅の大きさも5センチを軽く超えてきたので、屋上の「クサガメのおうち」に引っ越します。 

 

さて、6月に延江浩(のぶえひろし)さんが出版した「J」(幻冬舎)で、描いたのは、誰もが知る尼僧でもあるベストセラー作家の「最後の恋」です。「J」とは、瀬戸内寂聴さんです。

 

85歳の「J」と、37歳のビジネスマン「母袋(もたい)昇平」は、友人を介して知り合い激しい恋に落ちます。母袋には妻子がいるので不倫です。

 

作家の延江さんは、「これは事実をベースにした小説です。ほとんどがノンフィクションですが、それだと単なる暴露本になってしまうので、想像力で肉付けし、小説の手法を取り入れ、文字にしたのです」と語ります。延江さんは、小説に出てくる、実在の人物「母袋昇平」とは知り合いで、たまにワインを酌み交わす仲だったそうです。

 

寂聴さんが2021年、99歳で亡くなったあとに延江さんが母袋さんと会うと、堰を切ったようにその恋愛模様を語り始めたそうです。

 

「それはもう、うっとりと。母袋と『先生』との愛は、切実なる愛であり、最近あまりない純愛だと感じた。不倫なんだけど、何事にもとらわれない恋愛がそこに存在したんです」と延江さんは感じ、母袋さんに出版の了解を得て、17回ほど話を聞き、事実かどうかの裏どりも念入りにしたうえで、この恋愛が本当だったと確信したそうです。

 

寂聴さんが2011年に出版した短編集「風景」の中の「車窓」に、母袋の名前が出てきます。しかも恋人役です。この本で、寂聴さんは泉鏡花文学賞を取っています。今では、寂聴さんからはコメントが取れないですが、寂聴さんも母袋のことが好きだったことが分かった。寂聴さんが、事実を教えてくれたんだと、作者の延江さんは思ったそうです。

 

寂聴さんが生きていたら、この小説を読んで何と言ったのでしょうか。「しょうがないじゃない、好きになっちゃったら」とでも言ったのでしょう。普通、世間は不倫騒動にあれこれうるさいはずなのに、こんな寂聴さんのセリフなら、世間も黙ってしまうのでしょう。

 

もちろん、不倫を肯定しようなんて、おやじ園長は思っていませんよ。(笑)

 

ただ、命をかけて恋愛している人たちがそこにいる、ということは理解できるような気がします。