ケーキ切れぬ子

昨日の七夕の夜は、おやじ園長はカブトムシをようやく採集することができました。小さなオスのカブトムシ1匹です。メスも木の高いところにいたのですが、長い棒を使って落とそうとしたところ、飛んで行ってしまいました。捕獲失敗です。今日は、カブトムシオスの観察を子どもたちと行いました。「カブトムシはどのくらい生きる?」→長くても1か月・「このカブトムシはどうして小さいの?」→幼虫の時の大きさで成虫の大きさも決まる・・・などの問題を出しながら、子どもたちは、カブトムシの知識も吸収するのです。もちろん、手のひらに乗せています。

 

さて、新潮新書のベストセラーとなった「ケーキの切れない非行少年たち」を知っていますか。4月にNHKでドラマ化されました。ストーリーは、女子高生が人知れず赤ちゃんを産み捨てました。女子少年院に勤務する精神科医が、少女のある特徴を発見します。「ケーキを3等分できない」・・・認知機能の弱さが引き起こす悲しみの連鎖。しかし、少年院を出た彼女は小さな命と向き合おうと決意する。という実際に起きたノンフィクションです。

 

この問題は、最近、耳にするようになった「境界知能」と言われる内容です。明らかな知的障害ではないですが、状況によっては支援が必要とされ、通常の教室に約5人いるとされます。しかし、発達障害とも違って、先生などには「障害」として気付かれず、支援対象になりにくく、この本の著者で精神科医の宮口さんは、とても「厄介さ」があるといいます。

 

具体的には、先生の言っていることが聞き取れない、理解できないのに、先生にまた何か言われるのが嫌で分かったふりをしてしまうのです。そのために、周りから「あの子はふざけている」「やる気がない」「ウソをつく」と誤解されます。

 

学習障害に近いところもあり、漢字が覚えられない、黒板が写せないといった学習面の弱さが生じたりもします。周囲の状況や空気を適切に読めないため、「自分は皆から避けられている」「自分だけ損をしている」など、被害感や不公平感を募らせることにもつながっていきます。

 

知的障害・発達障害の子どもについては、特別支援学校・学級への対応など、ここ数年で、社会的なフォロー体制が確立され、就労についても、配慮される環境になってきました。

 

ところが、「境界知能」については、教育関係者の中でもまだまだ知らない人が多く、知識や理解をどうやって社会全体に浸透させていくかが必要になってきます。

 

今日は、「境界知能」という言葉・・・知ることから始めましょう。