「競争」の功罪

屋上のマルベリーも今日で終了としました。高いところに少しだけ残っている実は、鳥たちのご馳走に残しておきます。園児たちの次のターゲットは「ビワの実」です。少しずつ、オレンジ色になってきました。早く食べたくて仕方がない子どもたちです。(笑)

 

さて、今年も全国学力・学習状況調査が行われました。これらのデータは県単位で平均値が公表され、いつの間にか順位付けがなされます。下位県には緊張が走り対策に頭を悩ませます。上位県は胸をなで下ろしますが、順位を維持しなければならないという重荷を背負います。

 

実は、平成19年から始まった全国学力調査の最大の成果は、学力の地域差が解消されたことだそうです。過去では、住宅市街地とへき地との間に大きな学力差がありました。ところが、全国学力調査が始まると、都道府県の平均値が、ほぼプラスマイナス5%の範囲内に収まったそうです。

 

これは、「競争」心理を上手にあおることで、各自治体が「うちの県の学力を上げないと!」と、対策を講じるからです。しかし、これがエスカレートすると、上位の学校名を公表する自治体が現れたり、学力調査直前対策を行う学校が出てきます。各自治体が、予算の枠組みの中で、わずかでも順位を上げようとする心理が働くのです。かくして、予算をかけずに学力を伸ばそうとする「国の術中」にはまることになるのです。

 

保育園の子どもたちにも、この「競争真理」をよく使います。まんまと、園長の術中にはまって、今までできなかったことが出来るようになる子どもは、今まで何人もいました。自転車などは、競争真理が大きく働きます。

 

しかし、全国学力調査の例でも、「競争」が行き過ぎると、「とにかく上位になる」と躍起になって、子どもたちのペースに合った学びが、「点を取る」ことにシフトしかねません。

 

スポーツの世界・・・オリンピック・サッカーワールドカップ・WBCと大きなイベントでは、日本の金メダルを私たち国民は願います。もともと、人間の本質なのかもしれませんね。

 

「競争」の功罪を常に考えながら、上手に活用したいものです。保育園もしかりです。