相変わらず、保育園の「こびとブーム」が続いています。玉ねぎと長ねぎのねぎ坊主をこっそりと切り取って、「みんな・・・大変だ!こびとの『とうちん』があるぞ!」と声をかけると、「とうちんがあるということは、近くにこびとがいるに違いない」と、子どもたちのこびと捜索が始まります。『とうちん』とは、こびとの頭にある触覚みたいなもので、ねぎ坊主が、そっくりの形状をしているのです。
そんな屋上ファームでは、トマトやキュウリの苗を先日植えたばかりです。よく、ホームセンターなどで「接ぎ木苗」を売っているのをご存じですが。例えば、根を張ったかんぴょうの茎に、トマトの茎をつなぎ合わせると、つなぎ目がくっついて一つの植物(接ぎ木トマト苗)になります。
どうして、こんな面倒なことをするのか知っていますか。畑は、連作障害というのがあって、昨年トマトを植えた場所に、同じトマトを植えると、うまく育たなくなるのです。そこで、トマトとは種類が違う根を持つ茎を接ぎ木することで、連作障害を回避し、収穫量を確保するのです。トマトはジャガイモの仲間ですので、ジャガイモを収穫した畑の後にも通常のトマトの苗を植えると連作障害になります。
接ぎ木は、通常の苗よりも値段が少し高くなりますが、小さな土地で家庭菜園をする場合などは、この接ぎ木苗が力を発揮します。
接ぎ木のメカニズムは、どの植物も傷が付くと酵素を出して、細胞壁を構成する物質「セルロース」をいったん溶かし、つなぎ直します。この仕組みで、違う植物がつながることができるのです。
接ぎ木は、今までは似た種類の植物の組み合わせでないと、うまくいかないと言われていましたが、先日「奇跡の組み合わせ」が発見されたそうです。「タバコ」を接ぎ木に使用すると、たいがい成功するとのことです。
世界的な人口増加と異常気象で、食糧危機が深刻になっています。地球温暖化や塩害や乾燥などで土壌の劣化が進んでいます。「世界の農作地の4割は、すでに農業に不向きな土地になっている。未来に向けて、待ったなしの問題です」と専門家は語ります。
接ぎ木の技術は、例えば、乾燥地帯など厳しい土壌でも育つ植物に野菜や果物を接ぎ木できれば、砂漠でも収穫できるようになる。また、接ぎ木は、別々の植物が持つ長所を併用できるようになるそうです。組み合わせを工夫すれば、病気を防いだり、生産性を向上させたりすることも可能です。
今度、ホームセンターに行ったら、「接ぎ木苗」を確認してください。