島さん

今日は、世の中の多くが「新年度スタート」となりました。保育園も朝の会で、それぞれ進級した寺子屋園児のインタビューを行いました。みな「やる気満々!」です。(笑)

この1年間で、うれしいことや楽しいことだけでなく、辛いことも多くの失敗も経験して成長するのです。大切なスタートの日ですね。

 

さて、「島さん」というコミックをご存じですか。サザンオールスターズの桑田佳祐さんも愛読しています。舞台は、どこにでもあるようなコンビニ。そこで働く島さんは、訳あって昼の交通整備の仕事とコンビニの夜勤を掛け持ちしています。「夜勤のベテラン」と呼ばれ、他の店にもヘルプで声がかかるのですが、もう、おじいちゃんで、新しいことを覚えるのは苦手だし、作業もトロいし、体もガタがきています。そんな島さんですが、なぜか周囲の人に愛され、頼りにされているのです。

 

島さんは、厄介な客のクレーム対応や、万引、マナー違反などの面倒な出来事も臆することなく対応し、なぜか問題を解決してしまうのです。実は、島さんは元やくざです。

 

島さんの態度として、一貫しているのは、客と店員、あるいは店員同士といった線引きは設けながらも、あくまでも「人間として」お互いの事情を把握し、接しているという点です。お客様に対しても、おかしいと思ったことは毅然と指摘し、同僚のミスはさりげなくカバーします。相手を、人生のどこかでまた別の立場として出会うかもしれない存在として認め合う姿勢がうかがえるのです。

 

作者の「川野ようぶんどう」さんは、本作を生み出すまでに長年コンビニで働き、本作を発表するまでに20年がかかったそうです。自分の経験がこの作品には詰まっているのです。

 

私も、大学時代にコンビニの夜勤でアルバイトをしていました。池袋の繁華街のコンビニでしたので、お客様は、夜のお仕事をされている人が多く、様々な人生物語を抱えていました。私にとっては、かけがいのない「人生の勉強」でした。

 

こんな島さんみたいな店員さんは、実は、あなたのまわりにもいると思います。