一般的に常識とされていることの一つに、「親が甘やかしすぎるから、子どもがわがままで、なかなか自立しない」があります。どうも、100%その通りというわけでもなさそうです。
親の過干渉は、子どもの自立心を奪うといわれています。例えば、子どもが洋服を選んでいる時に、「こっちがいいんじゃないの?」と先回りして口出しをすると、子ども自立心は育ちません。子どもがじっくり選んでいるなら、時間がかかっても待つべきです。ところが、子どもが「お母さん選んで」とお願いしてきた場合は別で、そこで「ダメよ。自分で選びなさい」と言ってしまったら、いつまでも決まらないか、投げやりな気持ちで適当に選ぶかのどちらかになってしまいます。
保育園の子どもたちを見ていても、「自分でやる!」タイプと自分ではなかなか決められないタイプに分かれます。これは、成長段階によりますので、寺子屋園児ではない小さい子はまだできません。「幼い子どもには、まだはっきりとした自我も判断力もないので、なんでもかんでも子ども自身で選ぶことはできません。ある程度、親が決めてしまっていい」と専門家は語ります。また、人間の性格上「相手のために頑張ることに喜びを感じる」タイプであれば、大きい園児でも、「自分よりも親の意見を優先したいと考える」そうです。
つまり、すべての子どもに対して、何でもかんでも自分で決めさせるのが適切だとは限らないといいます。
ここで質問です。「子どもの自立とはどういう状況になることと思いますか?」
多くの人は、人に依存しなくなり、自分一人で何でもやっていくこと・・・と答えるかもしれません。しかし、自立とは「依存先を増やしていくこと」だそうです。えっ?ですか。大人の私たちでも、周囲の人たちの力を借りずに生きる人はいません。むしろ、自分の力だけでは解決できないことに直面したとき、「手を貸してください」「教えてください」と素直に助けを求められることが大事で、そんな人が「自立した人」と言えるのです。
どうですか・・・納得しますね。保育園の子どもたちには、「自分のことは自分でできるように頑張って!」と言いますが、同時に「困ったことがあれば、先生に言いなさい」とも言っています。3歳児では、上着をハンガーに掛けて、前ジッパーを締めることができない園児が多いです。ここで、「先生、できないのでやってください」と言える子と、もじもじして前に進まない子に分かれます。前者の方が、早く自立につながるのです。
冒頭の洋服選びの場合でも、子どもが自分で選べないので、助けを求めてきたのに、親が「ダメよ。自分で選びなさい」と言ってしまったら、次から素直に助けを求めることができなくなってしまいますね。子どもが、まだ自立途上で、親以外の「依存先」をたくさん増やせるようになるまでは、親が手を差し伸べるべきといいます。もちろん、子どもがアドバイスを求めているときに限った話です。過干渉はもちろんNGです。
保育園の保護者にとっては、まさに我が子の話ですね。しかし、ここでいう「甘え」には、物理的要求や金銭的要求は含まれません。子どもが「あれ買って、これ買って」や、「靴を履かせて、カバン重いから持って」と言ってくることをすべて聞き入れるのは、単なる「甘やかし」です。子どもの自立を促す「甘え」とは、精神的要求のことです。「抱っこして」「話を聞いて」や冒頭の「お母さんが選んで」などが当てはまる内容です。
どうですか・・・子育ての整理がつきましたか。専門家によると、こうした「甘え」を受け入れる年齢は、9歳か10歳くらいまでといいます。小学校4年生くらいですね。もちろん、子ども一人一人違うので、「子どもが甘えてこなくなるまで、十分甘えさせてよい」と言います。
さぁ。子育てマニュアルは、子ども一人一人違うので、親が自分で決めないといけませんが、この内容は、十分参考になりますね。