何のために勉強するの?

保育園の年長園児は、4月からの小学校生活を見据えて、お昼寝がなくなり、昼の時間は「勉強タイム」となります。といっても、小学校でスタートさせる勉強の予習だけではありません。「間違い探し」「迷路」といった遊びもします。

 

年長園児たちは、「今日は何をするのかな?早く勉強したい」と言いながら、お昼の時間を楽しんでいます。今のところ「何のために勉強するの?」と聞いてくる園児はいませんが、そんな質問が出れば、よし!とばかりに、全員で議論しようと思っています。

 

過去に行った寺子屋の「てつがくの時間」で、「何のために勉強するの?」を話し合ったことがあります。「頭がよくなるため」「小学校で勉強するから」「勉強ができるほうが、大人になっていい仕事ができるから」「よくわからないけど勉強したほうがいいと思う」などなど、保育園児の考えもいろいろな答えが出てきました。

 

昨日から共通テストがスタートしました。新聞には、昨日の問題と回答が数ページにわたって掲載されています。私の時代に「共通一次テスト」が初めて導入され、マークシートで、正解率が高くなるテクニックを予備校(代ゼミ)で教えてもらった記憶があります。このテクニックを使えば、知識が不十分でも65%くらいは正解できる手法でした。

 

今朝の新聞で、テスト問題を見ると、自分で考えないと回答できないような問題が多くなってきました。受験生にとって、「何のために勉強するの?」と聞けば、ほぼ全員が、「志望校に合格するため」と答えることでしょう。でも、これは短期的な目的ですね。志望校に合格してから何をするのか・・・そして大人になって進む道を受験が終わってからも、ずっと考え続けないといけません。

 

ある小学校の校長先生は、常に「何のために勉強するの?」と子どもたちに問い続けます。一番多い回答が「勉強して成績が上がれば、入学できる学校の選択肢を広げるため」

だそうです。もちろん、間違えではありませんね。でも「学校に入るために勉強するの?」と聞き返すと「そうではない」と子どもたちは答えます。

 

「何のために勉強するの?」の答えは、ますます難しくなってきましたね。

 

タレントで塾講師の林修先生が、勉強が苦手だった若者に授業をする番組で、一人の若者が「なんで勉強しなきゃいけないの」と質問します。すると林先生は「そうだよな。でも、社会に出たら答えのない問題や課題と戦っていくことになるんだよ。だからこそ、学生の時ぐらい答えのある問題を解く練習をしておくことは、決して無駄にならないと思うよ」と答えたのです。

 

これも、1つの答えですが、妙に納得しますね。保育園の子どもたちに取り組んでいることは、どちらかというと、勉強ではなく遊びの中で、社会性や人間関係力や非認知能力を高めることです。私も、保護者に対して「社会に出れば答えがないことに対して、自分で答えを出していかねばなりません。だから、子どもたちは自分で考えることが大事なのです」なんて、何度も言ってきました。

 

そして「答えが出る勉強ばっかりやっていても、その力がつかないよ」と無意識に思っていたのかもしれません。答えがある学習をたくさん経験することで、答えがない問題で、自分だけの答えを見つけることができるのでしょう。

 

やはり、最後はバランスが大事だという答えになってしまいます。(笑)

 

「勉強という認知能力」と「点数がつけられない非認知能力」の両方が大事であることに異論はありません。