短歌のガチャポン⑧

まだまだ短歌です。

 

今日の歌は・・・

「この国のルールを教えておいてやるふきのとうの悪口は言うな」

 作:戸田響子

 

コロナはまだまだ終息しませんが、街には外国人の姿を見るようになりました。日本を初めて訪れた外国人に、「日本のルールは・・・」とあれこれ教えるとしたら、どんなことを思い浮かべますか。「自己主張ばかりしないで・・・相手の話を聞く」といった内容から「お箸の使い方のNG」などの生活習慣まで、山ほどありますね。

 

でも、決して思いつかないのが「ふきのとうの悪口は言うな」です。同じ食べ物でも、例えば「納豆」なら、「私は納豆は嫌いなんです」と言われれば、「関西の方ですか?」なんていう会話が成立しますね。

 

「ふきのとう」はどうでしょうか。私はふきのとうが嫌いです・・・という会話は聞いたことがありません。たいがい、春という季節の訪れを象徴する食べ物なので、ついつい、ふきのとうの天ぷらが出てくると、「春ですね・・・ふきのとうか・・・おいしい」と、まるで条件反射のように、つぶやいてしまいます。でも、冷静にふきのとうの味は、やや苦いのです。他の食べ物なら「苦いから嫌い」なんて言うのでしょうが、ふきのとうに限っては、「この苦さがいいですね」とか「春の生命力を感じます」と言いながら、酒がすすむのです。

 

外国人が、ふきのとうを食べたら、きっと「苦い???」という反応を示すかもしれませんが、この歌では、ふきのとうは、日本という国の「アイデンティティ」とばかりに、「悪口は言うな」としているのです。

 

なんか、この感覚・・・いいと思いませんか。