学校現場での「カスハラ」

セクハラ・パワハラ・・・と昨今の世の中には、様々な「○○ハラスメント」が増えていますが、最近取り沙汰されているのが、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」です。カスハラとは、客が商品・サービスに対して過剰な要求を行ったり、不当な言いがかりをつけたりする悪質なクレーム行為です。私が、サラリーマンだったころは「クレーマー」と呼ばれる厄介な客のことです。

 

学校現場では、「モンスターペアレント」と呼ばれることが多かったのですが、最近では、その呼び方をしなくなっているようです。学校現場の「カスハラ」は、かなり過激になっているのです。

 

中学のバスケ部で、レギュラーになれなかった子どもの保護者から「理由を説明しろ」と抗議を受け、毎夜遅くまで家に帰れなかった顧問。進路面談の際、県内の各高校の教育方針や特色など詳細情報を披露し、担任に「こんなことも知らないのか」などと、3時間もマウントを取り続けた保護者。「数学の先生が冷たいせいで娘が学校に行けなくなった。別の教員に代えてくれ」と教育委員会や学校に訴え、職員室を訪れては、当該の教員を呼べと大声で騒いだ保護者。などなど・・・きりがありませんが。

 

また、行き過ぎた要求をしてくる保護者が、教員だったという例も少なくないようです。同業だからこそ手の内がよくわかり、相手の痛いところをついてくるため、攻撃された教員の記憶にも残ります。

 

民間企業であれば、「クレーマー」はブラックリストとして、同じ業界の企業が共有していることが多いですね。結論は「相手にしない」という対応もできます。お客様からの要求は、すべて録音して、悪質な場合は法的手段もとれるようにしています。

 

学校では、保護者の要望のうち、どこまでが正当な範囲のもので、どこからが度を超すものかという線引きが、非常に難しいですね。保護者と学校側の認識も異なるケースも多々あります。

 

我が家も、次女が小1の時に「隣の○○君が、いつもちょっかいを出してくるので、娘が困っている」と担任に相談すると、翌日には席替えをしてくれた経験があります。この要求は、担任にとっては、範囲内と受け止めていただきましたが、「それは受け入れられない」という担任もいるでしょうね。

 

最近は、その「境界線」がかわり、今まで非常識の要求が、常識に変わりつつあるようです。「教科書を学校に置く『置き勉』を許可」「水筒の中身の指定」「下着の色指定」「欠席や遅刻の連絡を電話でなくアプリで」「子どもにスマホを持たせたい」といった内容が、今では「各家庭の判断でいい」とされることが多くなっています。

 

この境界線は、今後も変わっていくことでしょう。カスハラだけの問題でなく、校則など「学校の理不尽」も時代とともになくなっていくのです。

 

学校の対応は、まずは、保護者の声に拒絶反応を示すのでなく、要求に耳を傾けて、一つひとつ吟味して、対応可能かどうかを考える。こんな当たり前の結論となるのです。