バンテージ・ポイント

今日は久しぶりの体操教室です。鉄棒を高くしてぶら下がり、そのまま横へ移動するプログラムは、スイスイできる子と全く動かない子に分かれます。まるで猿のように軽々動く3歳男の子・・・常に、動きが俊敏です。

 

さて、今日は2008年に制作された「バンテージ・ポイント」という映画の話です。ストーリーは、ある国際サミットで、米国大統領が演説を始めようとした途端、狙撃され、その後、演台に仕掛けられた爆弾がさく裂するという衝撃シーンからスタートします。

 

この作品の特徴は、1つの事件を、その場にいた8人それぞれの視点から描いていることです。テレビ局員、シークレットサービスとその同僚、地元刑事、ビデオを回す旅行者、大統領、テロリストたちの主観的事実が重なりながら、物語が進行します。最初は、全く関連のなかった出来事が、進行とともに意味を持つようになります。こうした、多視点からの描写そのものが、この映画のテーマなのです。

 

「バンテージ・ポイント」を日本語に訳すと、「見晴らしのよい地点」「有利な立場」となります。

 

保育園や小学校を例にすると、子ども同士のトラブルについての初期判断が一面的であったばかりに、時間の経過とともに保護者を含めた双方の主張に食い違いやねじれが生じ、取り返しがつかなくなるといったことは、しばしばあることです。

 

リーダーには「虫と魚と鳥の三つの視点」が大切といわれます。それは、①昆虫のように事象を複眼で多角的に捉える②群れをなして海洋を渡る魚のように、時間軸の流れに沿って捉える③鳥のように高い位置から捉える・・・つまり、物事を常に、総合的、全体的に判断することの重要性を示しているのです。

 

どうしても、自分の視点でしか物事を捉えられないのは、人間の宿命かもしれません。でも、それを自覚することで、「相手はどう思うか?どんな作戦を立てるか?」という、他者の視点を常に念頭に置きながら、想像力を働かせる癖を持ちたいものですね。優れた戦国大名は、まずは作戦を立てる前に、相手の攻撃を予測することから始めますね。

 

多様化する社会において、1つの事実に対する視点を「個の思い」だけで考えるのではなく、複数の着眼点を持って考えたいものですね。

 

まずは、「自分なら・・・」でなく「○○さんだったら、どうするだろう」と考えてみませんか。