明日をつくる十歳のきみへ

梅雨に入りましたが、毎日雨ではありませんね。今日は、しっかりと屋上遊びをしました。ザリガニ釣りに夢中の子どもたちもいれば、ビワの木のてっぺんに残っているビワの実を誰が木に登って取るか相談しているようです。最近のブームは、古タイヤを丸く囲んで、その中に三輪車を並べる「車屋さん」です。車の展示場に行った園児の発案です。 

 

さて、聖路加病院で長寿をまっとうした医師、日野原重明さんは103歳の時に、子どもたちへ「明日をつくる十歳のきみへ」を残しました。その著書の中で、「いのちと時間」のことを伝えます。世の中をよくするために、子どもたちには「ゆるしの心を持つこと」と「おとなになったら人のために自分の時間を使えるような人になること」といいます。

 

戦争体験のある日野原さんは「人のいのちをたくさんうばってしまう戦争は、人間がすることのなかで一番悪いこと。世界中の子どもたちどうしで手を取り合い、『戦争は、やめよう』『平和を守ろう』と声を上げてください」と語ります。おそらく、天国から、ロシアのウクライナ侵攻を嘆いていることでしょう。

 

教育の目的は、人格の形成であり、「平和的な国家及び社会の形成者」としての資質を育成することであると日野原さんは言います。その資質として、「ゆるしの心を持つこと」を挙げます。人の痛みを想像する力を付け、争いの根っこにある憎しみの感情をコントロールできるようにし、憎い相手をゆるす勇気で争いを終わらせる・・・私たちは、日野原さんに、こう問われているのかもしれません。

 

これからの日本の教育で重視されることは、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく教育する「個別最適な学び」と、子どもたちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体化です。「多様性」がキーワードですね。

 

日野原さんは、その根本にあるのが「ゆるしの心」と言います。人の痛みを想像するからこそ、人それぞれに優劣はないこと。対立し憎しみの感情が湧いても、許す勇気があれば、仲良くなれると。

 

とても深い言葉です。しっかりと受け止めたいですね。