無理させない育成 佐々木投手

今日の保育園では、3歳男の子に「○○君も○○ちゃんも自転車に乗れるようになったよ。練習してみるかい?」と聞くと、首を縦に振りません。次に先輩小学生にコーチを頼んでみるものの「園長先生・・・やっぱり乗りたくないって言ってる」とのこと。でも、園長は「無理をさせない・・・本人の気持ちを尊重しよう」とは、まったく考えません。本人への説得を言葉を変え、人を変えて、「自転車に乗れた!俺は凄いぞ!」と思ってもらうように諦めません。(笑)

 

先日、プロ野球千葉ロッテマリーンズの佐々木投手が、史上最年少で一人の走者も出さない完全試合を達成しました。その1週間後も完全試合ペースを続けていた佐々木投手を8回で井口監督は降板させる決断を下したのです。これには、プロ野球ファンのみならず、様々な意見が飛び交いました。あなたは、この決断をどう思いましたか。

 

令和の今は、井口監督の「選手の将来を考えて、記録や目先の勝利に固執しない起用法」に賛成の声が多かったようです。通算無四球試合の日本記録を持つ、元近鉄バッファローズの鈴木啓示さんなら、「なんでや!記録を前に降板させるなんて!」とたぶん言ったと思います。私も昭和世代を代表して、「なんで!?」と思った一人です。

 

実は、佐々木投手は高校時代から、「無理させない育成」を実践する監督に恵まれています。2019年、岩手・大船渡高3年夏の県大会決勝で、佐々木投手は甲子園目前で、登板機会がないまま敗退するのです。当時の国保監督は、同校35年ぶりの甲子園出場よりも連投が続いていた佐々木投手の故障防止を優先したのです。国保監督は、「生徒の将来の人生が輝くように」という言葉を大事にしてきました。

 

プロになった佐々木投手は、ロッテの慎重な育成法で、1年目は公式戦では2軍でも一切投げさせずに体力作りを優先。2年目の昨年は5月にデビューを飾らせたものの、登板間隔を長く開ける負担軽減策で、無理はさせられませんでした。

 

高校野球では、2019年11月に、「1週間500球以内」とする球数制限が導入されています。プロ野球では、先発は100球以内・中継ぎ・抑えの分業制は、かなり前に定着していますね。

 

他の競技でも、サッカーでは発達中の脳に悪影響を与えないように、15歳以下のヘディングの練習にはガイドラインを設けたり、柔道でも全国小学生学年別大会が廃止され、行き過ぎた勝利至上主義にストップがかかりました。

 

スポーツ界は、当然ですが結果重視の考え方が中心でした。プロなら当たり前です。ところが、もっと先にある目的を達成するためのプロセスが大事にさせる時代になってきたのです。脱・結果主義という考えが広がっていくのかもしれませんが、見る側は「金メダル」や「優勝」「チャンピオン」に酔いしれるのも現実ですし、難しいところですね。

 

保育園の子どもたちは、アスリート集団ではありませんので、結果を大切にする園児もいれば、プロセスを重視する園児もいます。個人個人にあった育成法です。当り前の結論ですみません。