「北の国から」黒板五郎の言葉②

北海道が、冬に向かっていく季節・・・

 

二階からおりてきた純と螢。

純 「お父さん、二階寒くてたまりません」

五郎「そうでしょう

純 「あれじゃ眠られません。何とかしてください」

五郎「(明るく)だから早いとこ何とかしなさいってこの前から父さんいってたでしょうが」

純 「ぼくが自分でやるンですか!?」

五郎「そりゃそうですよ。上は君たち三人が寝てるんだし、中で男は君だけなンですから」 

純 「だってーじゃァお金ください!予算がなければ」

五郎「(ほがらかに)お金があったら苦労はしませんよ。お金を使わずに何とかしてはじめて、男の仕事っていえるんじゃないですか」

純 「オトコー!だってボクまだ子どもですよ!!」

五郎「子どもだって男は男でしょうが。知ってますよ。ちゃんとオチンチンついてるの」

雪子「たよりにしてるわよ。純ちゃん何とかして」

純 「-!!」

 

男とか女とか・・・今の時代にはあり得ない!なんて、言わないでくださいね。黒板五郎は、昭和のおやじです。この「男」の表現は、純へのエールですね。ちょうど、スタートした朝ドラ「ちむどんどん」は、舞台こそ北海道とは真逆の沖縄ですが、自分たちが使うものは、全部自分で作る・・というところは、「北の国から」と同じですね。

 

これまで、五郎は、螢には、「螢!」と呼び捨てにして会話をしていましたが、純に対しては、「純君」と呼び、ぎこちない丁寧な言葉を使っていました。ただし、富良野で初めて迎えた大晦日の夜。五郎は純と螢を富良野の街の灯りが見える丘の上に連れていきます。

 

五郎「君たちは本当に良く頑張った」

二人「-」

五郎「父さん、-君たちに感謝している」

二人「-」

五郎「今年一年の君たちのことをー父さん、一生忘れないだろう」

二人「-」

丘の上 三人のシルエット

五郎「父さんこれまでお前に対して、ていねいな言葉でいつもしゃべってきた」

純 「-」

五郎「そうするつもりはなかったがーいつからかそういう習慣ができちまった」

純 「-」

五郎「でももうやめる」

純 「-」

五郎「いまからやめる」

純 「-」

五郎「だからお前もー。いっしょにやめろ」

純 「ハイ」

五郎「ウン」

 

このシーンも印象に残っていますね。東京へ帰りたくて仕方なかった純が、少しずつ、富良野での生活を受け入れようとしているところです。

 

私たちも、新しいことを受け入れるには覚悟がいりますね。