北京冬季オリンピックがスタートしました。夏の北京オリンピックで、あの日本女子ソフトボールが悲願の金メダルを獲得したのは、まだ記憶に新しいことですが、北京は世界で初めて夏冬のオリンピックを開催した都市となったのです。ただし、雪が少ない北京は、人工雪での競技ですが・・・。
夏の北京の開会式は、「これでもか!」というくらい、花火が上がり、有名人もたくさん出てきて、「金がかかっているなぁ~」でしたが、今回は、その真逆でしたね。東京オリンピックもストーリー性重視の開会式で、それはそれで、とても見ごたえがあったのですが、今回の北京オリンピックの開会式もよくできた演出でした。アスリートの姿と一般市民の姿を融合するような映像は、見る人をひきつけます。最後の聖火ランナーにウイグル選手を起用したことは、見え見えの「政治的」な演出でしたので、オリンピックは何のため?誰のため?を考えさせられます。答えがなかなか出てこないので、今回の北京オリンピックも単純に選手たちの活躍を応援することにします。
さて、開会式で各国を紹介するプラカードは、雪の結晶をモチーフにしていましたね。雪を言い表す日本語は豊かです。「粉雪」「ぼたん雪」「淡雪」などなど・・・日本人の感性に深くなじんでいます。しかし、6角形の美しい雪の結晶を詳しく知るようになったのは、光学機器と科学知識が発達してからのことです。
そんな雪の結晶を観察した殿様が江戸時代にいたそうです。古河(茨城県)の藩主、土井利位(としつち)です。1832年に20年もかけて記録した結晶を「雪華(せっか)」と名付け86種類を「雪華図説」として刊行したのです。今から200年も前の話です。
外国製の顕微鏡か拡大鏡をのぞく姿が思い浮かびますね。世界で初めて人工雪を作ることに成功した物理学者の中谷宇吉郎氏は、この図鑑を「欧米の研究者たちの観察に比しても決して遜色ない」とたたえます。彼は、「雪の結晶は、天から送られた手紙である」という名言を残しています。
この冬は、まだ何回か雪が降ることでしょう。子どもたちは、雪合戦と雪だるま作りに夢中になりますが、雪の結晶を観察したくなってきました。「雪の華」は、すぐに解けてしまう、はかない命というのも魅力ですね。