正しい多数決

先日の土曜日の保育園での事。お昼時間に小学生3人と年長園児4人が、何をして遊ぶかで意見が分かれました。小学生は、運動会を行う「広い西文ひろばで、鬼ごっこがしたい」を主張し、年長園児は、近くの「公園でシーソーで遊びたい」でした。「多数決」で決めるのなら、年長園児の公園で遊ぶとなるのですが、園長は、単純に多数決で物事を決めるのは大嫌いです。ここでは、「みんなで話し合って決めなさい。ただし、どうして鬼ごっこがいいのか、公園がいいのかその理由も言ってから決めるように」とします。

 

私の場合は、民間企業で勤務していた癖で、いくら少数意見でも、一人だけの意見でも、その根拠がみんなを納得させる理由があれば、それを決定事項にすることが当たり前の環境で仕事をしていました。

 

日本人は、どちらかというと、少数意見でも信念を熱く語って、まわりを納得させることは少なく、多数決で決めることが多いですね。多数の意見にまかれるほうが、波風を立てない平和的な解決方法だからです。

 

保育園の園児に対して、「自分の意見が一人だけの意見でも、その理由をみんなに納得してもらえれば、その意見が通るんだよ」と言うのですが、まだ大人のようには、多数派を論破することは難しいですね。そこで、「正しい多数決」を考えてみることにしました。

 

ちなみに、冒頭の小学生3人と年長園児4人の結論は、どうなったと思いますか。小学生が、こんな提案をしたのです。「私たちは、もう小学生だから、年長の『公園で遊びたい』でいいよ。でもね、シーソーで遊んだら、鬼ごっこをすること。それならどう?」この提案に、年長園児は全員納得しました。

 

どうですか・・・私は、この話し合いを見ていただけで、何も指示をしていません。これが、「正しい多数決」と思いました。『数の多い方の意見で決まったとしても、少ない方の意見のいい所を生かすこととセットにすること』これが、正しい多数決です。

 

少数意見の人たちに「我慢しろ!」と言うのではなく、少数意見のメンバーが「じゃ遊ばない!」と決裂することなく、みんなが嬉しい方法を考える子どもたちが、どんどん増えて欲しいですね。

 

多数決で押し切らない、少しずつ譲れる考えを持った若者たちが、これからの地球を平和に導いてくれるのだろうと、勝手に思う園長です。