見えないものを見る力

先日、2歳女の子が、屋上のエレベーターホールの暗い壁に向かって、指さして「えんちょうせんせい・・・ほら・あそこ!」と言うのです。もちろん、私には何も見えません。「○○ちゃん、何が見えるの?」と聞くと怖くなるので、「○○ちゃんには、何か見えるんだね」と言葉を濁しました。保育園の教室内でも、0・1歳児の小さい園児が、壁に向かって指をさしていることがたまにあります。

 

今日の話は、大人には見えなくても子どもには見える・・・という、オカルト的な話でありません。(笑)

 

人間は、目に見えないものに守られています。山の木々は空気をつくり、木陰をつくり、花は実を結び、動物を育て、落ち葉は土を豊かにしてくれます。目には見えないですが、空気の中には、小さな水があって、私たちの体を守ってくれています。体の中でも、乳酸菌などのたくさんの菌が健康にしてくれています。

 

また、日本人は、昔からすべてのものに神様がいると考えてきました。大切に使ってきたものにも、心を込めて作ったものにも神様がいると信じて、見えないものを大事にしてきました。

 

目に見えないことを考えることを「想像する」と言いますね。想像することは人間に与えられた最高の能力です。今日は、我が子と一緒でもいいです。今地球で起こっていることをしっかりと見て、想像してみましょう。

 

この地球の自然は、人間のせいでどんどん壊れています。自然だけでなく、遠い外国では、たくさんの子どもが食べるものがなくて死んでいます。まだ、子どものうちから無理やり働かされて、物を作っています。そして、そこで作られた物で、私たちは気持ちよく暮らしています。

 

もちろん、日本人がひどい人間なのではありません。そんなふうに作られたものだと知らないだけです。子どもたちが、勉強するのは、そういうことに気付くためでもあるのです。

 

自然のこと、遠い場所で起きていること、昔のこと、未来のこと、人の心など、目に見えないことを知り、想像してその大切さに気付くこと。そして、気付いたことに対して、自分はどうするのかを自分で決めて、今よりも良い社会を自分が作っていくには・・・を考えられるような子どもを多く育てたいですね。

 

どうですか・・・あなたは、見えないものを見る力・・・大切にしていますか。