当たり前を問う

今日も屋上では、BMXコースでの自転車遊びに夢中になる子どもたちと、自転車の練習を頑張る子どもたちと、まったりとマイペースで遊ぶ子どもたちが、それぞれの遊びを楽しんでいます。

 

ファームで大きくなった大根の葉に、アオムシを発見した子どもがいました。はらぺこアオムシのモデルでもあるモンシロチョウの幼虫です。私は、保育園の屋上で四季を過ごすようになって、初めて、モンシロチョウが一年間どうやって暮らしているかを知りました。

 

そこで、こんな質問を小学生にしてみます。「モンシロチョウって知っているよね。春になるとやって来て、キャベツ畑や菜の花が咲いている所で見るよね。でも、冬にはモンシロチョウはいますか?いませんね。では、春、モンシロチョウはどこからやって来るのでしょうか?」

 

理科の学習で大活躍のモンシロチョウなので、「昆虫は、日本の四季をどのように乗り越えるか」という理科的な思考と、子どもならではのファンタジーが交錯して、小学生ならではの楽しい討論が始まります。「春のモンシロチョウは、暖かい南の島から飛んでくるのさ」とか「あれは妖精みたいなものなんだよ。僕たちの知らないどこかからやってくるのさ」みたいな会話です。(笑)

 

ここで、夢のない現実の答え合わせです。成虫のモンシロチョウは、ホワイトきゃんばすの屋上の気候だと10月くらいまで空を飛んでいます。そして、大根の葉に卵を産みつけるのです。それが幼虫となり、大根の葉をおいしく食べます。無農薬なので、バクバク食べられます。(笑)

 

そして、サナギになって冬を越すのです。しかし、サナギのままで死んでしまうものもいます。まれに、そのまま収穫されなかった大根の葉や、落ち葉の中にアオムシとして生存しているものもあります。

 

こうして、厳しい冬を、ほぼ仮死状態で乗り越えて、奇跡的に成虫となったのが、春型のモンシロチョウなのです。体長は少し小さめです。この春型のモンシロチョウが卵を産み、夏型のモンシロチョウとなるのです。10月までに、これを2回か3回繰り返すのです。

 

冬を乗り越えた3月の小型のモンシロチョウを採集するのは避けたいですね。数が増える5月以降のモンシロチョウを捕まえるように、子どもたちには話さないといけませんね。

 

モンシロチョウは、当たり前に空を飛んでいるポピュラーな蝶ですが、その生態を問うてみると、不思議なことが分かりますね。私たちのまわりには「当たり前」で片付けられてしまうことが、けっこう多いですが、たまには、その「当たり前」を問うてみることも必要かもしれませんね。