ノーベル賞に込められたメッセージ

先日、99歳で亡くなられた瀬戸内寂聴さんを惜しむ報道が続いています。「ありのままでいいんだ」という彼女の講談やメッセージが、印象に残る人が多いと思います。自分が思うがままに自由に生きてきた女性・・・というイメージが強いですが、男性なら許される行為が、女性がために多くの困難に直面したことも容易に想像できます。それでも、彼女は、女性がこれからどんどん社会に進出しなさい・・・のような、発言や活動をするのではなく、男女問わず、「人として」を問い続けます。

 

戦争の事・・・原発の事・・・死刑制度の事・・・など、様々な社会問題に対しても、大きな影響力を発信してきました。瀬戸内寂聴さんから学ぶことはたくさんありますが、やっぱり「ありのままの自分でいる」ことですね。彼女自身は、小さくてキュートで、ユーモアいっぱいの普通の人と言われています。

 

さて、今日はノーベル賞の話です。ノーベル賞は、19世紀末、アルフレッド・ノーベルの遺言によって創設されました。

 

ノーベルは、爆薬ダイナマイトを発明した技術者です。ダイナマイトは、トンネルや運河の掘削に大いに利用されました。しかし、同時に武器へと多用され、戦争を激化されることになってしまいました。ノーベルは、巨額の富を手にする一方で、「死の商人」の称号をも授かることになったのです。

 

おそらく、そのことが彼にしょく罪の意識をもたらしたと言われていますが、ノーベル自身の遺産を使って「基金を設立し、その毎年の利子について、前年に人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする」との遺言を残したのです。

 

ノーベルの死後、1901年に第1回目が授与され、以降、120年余の伝統を誇ることになります。また、賞金の額が大きいことでも有名ですね。1千万クローネは、日本円でおよそ1億3千万円です。ノーベルの遺産が「どんだけ↑」あるの・・・ですね。

 

ただし、ノーベル財団は、金は出すが口は出さない。賞の選考は、専門家による委員会の秘密会議に委ねる。というスタンスで、ノーベル賞の公平さを担保しているのです。

 

ノーベル賞には、その時代時代を映すメッセージが含まれていますね。SDGsとカーボンニュートラルが世界的な政策目標となる今日、その基礎を作った真鍋さんたちが受賞したのも、時代とマッチしています。このメッセージ性が、120年が経過した今でも、ノーベル賞が人々に支持されるのでしょう。毎年、秋には「誰がノーベル賞もらった」で、わくわくしますね。