今日も屋上では、3歳児女子を中心に、自転車の自主練習が行われています。私は、少し離れたところで、「○○ちゃん。もっと速くペダルをこいで」「○○君。○○ちゃんの練習を見てあげて」と、年上の園児が教えるように仕向けます。実は、頼まれた園児は、しっかりと教えてくれるのです。うれしいですね。
ただし、現在練習をしているメンバーが自転車に乗れるようになるには、まだ時間がかかりそうです。「あと1週間しか時間がない」なんていう納期はありませんので、子どもたちの上達具合で、じっくりとやっていきます。時間をしっかりと使います。
さて、ミヒャエル・エンデの「モモ」をご存知ですか。私の長女が生まれた時に、知人から、この「モモ」を含めて、たくさんの本をプレゼントでいただきました。今でも「モモ」は我が家の本棚に入っています。この「モモ」が発刊されて、もうすぐ半世紀になるそうです。昨年夏にNHKの「100分de名著」で取り上げられて、ブームが再来したようです。
「モモ」の中で、時間貯蓄銀行の外交員を名乗る灰色の男は、時間の無駄を秒単位で指摘し、人々の不安をあおります。効率化への道を歩ませ、その時間を奪っていきます。なんだか、私たちの身近な問題のようで、怖くなってきますね。人は時間に支配されると、心の余裕をなくしてしまうものです。
私たち大人は、「今までは、この仕事に2時間かけていたことを1時間でするように!」と仕事の効率化を図ろうとします。タイムイズマネーですので、ビジネスの世界では当たり前かもしれません。
しかし、「モモ」に登場する灰色の男はこう言います。「子どもに時間を節約させるのは、ほかの人間の場合よりもはるかにむずかしい」・・・まさに、その通りですね。
保育園の子どもたちには、どれだけの時間をかけても、それは無駄なことではありません。自転車に乗れるようになるには、子どもたち個々で、かかる時間が異なりますが、すべての子どもたちにとって、必要な大切な時間なのです。
子育ても同じですね。時間の効率化・・・という概念は捨ててしまいましょう。