「スジ屋」大忙し

保育園の園児の中には、電車が大好きという子がたくさんいます。「こんなことまで知ってるんだ・・・」と驚くことが多いですが、今は小学2年生になった男の子が、南海電鉄の特急「ラピート」を言い当てた時には、ビックリしました。「関東の人間なのになんで!?」です。

 

また、登園日には必ず「時刻表」を持参する卒園児もいます。本屋さんで売っている一番大きくて分厚いタイプです。時刻表が読めるのは、その子と園長しかなく、他の園児にはまったく面白さが分かりません。彼は、一人で時刻表をたどっているのです。

 

今日は、そんな鉄道の話です。「スジ屋」と呼ばれる仕事は、何かわかりますか。鉄道ダイヤの原案である「ダイヤグラム」を作る人のことを言います。

 

ダイヤグラムは、鉄道ダイヤの元になる図表のことです。紙の左端にある縦軸には、路線の駅名が順に記載されています。上軸と下軸のある横線には、1分刻みで目盛りがあります。

 

始発駅が一番上に配置され、ここを原点として距離は下向きに、時間は右向きに進むので、下り列車は、右肩下がりで「1本の線(スジ)」で表現されます。反対に、上り列車は右肩上がりの折れ線を描くのです。なんとなく、わかりましたか。

 

このダイヤグラムを見れば、「鈍行列車がどの駅で、何時に特急に抜かれるのか」とか「上り列車と下り列車が通過し合うのは、どの場所で何時くらいか」などが、ひと目で分かるのです。

 

JRは、毎年3月に、年に一度の大がかりなダイヤ改正を行っていますが、「スジ屋」の皆さんは、このダイヤ改正後、すぐに、1年後の改正のための作業を始めるそうです。原案作りでは、相互乗り入れの状況や人口動態などを念頭に、現行のダイヤグラムに鉛筆や蛍光ペンで新たな筋を書き入れるのです。

 

もちろん、コンピューターも使用するそうですが、「複雑に絡みあったダイヤを全自動ででは組めない。紙に筋を引く作業は今後もなくならない」とのことだそうです。

 

今年は、コロナの影響で、終電の繰り上げや東京オリンピック用の臨時列車の運行中止があり、鉄道会社にとっては、幾度もダイヤを組み替える異例の年となったようです。

 

JR東日本には、約30人のスジ屋がいるそうですが、コロナ禍では、お客様の利用状況は見通せません。それでも「一本の線の後ろに、何千ものお客様がいる。それを忘れず、良いダイヤを作っていきたい」とスジ屋の一人は話をします。

 

どうですか・・・ダイヤグラムを見たくなりましたか。けっこう、はまりますよ。