希少自然素材

今日は、朝から雷雨となり、タイミング悪く登園した園児は、びしょ濡れになってしまいました。雨は上がりましたが、プールはお休みして、通常の屋上遊びです。そして、今日もまた、自転車に乗れた園児が一人。何と2歳の男の子です。2歳10か月という、ホワイトきゃんばす歴代2位の大記録です。

 

保育園にある一番小さな12インチサイズでも、足がギリギリ届く感じで、それでも、走り始めると、ずっと止まらないでペダルをこぎます。自転車免許証を手にした時の笑顔は最高でした。彼の頑張りの陰には、ママの頑張りもありました。広い公園で、しっかりと親子での練習の日々があったのです。どうですか・・・2歳10カ月で自転車ですよ。凄いですね。

 

さて、7月のサマーキャンプで、年長園児は「和紙作り体験」をしました。和紙は、「こうぞ」という木が原料です。細長く、棒状の木ですが、これを沸騰した湯に入れるなどして、ほぐします。地域によって、木の皮をつけたままであったり、皮をはいで使う場合もあります。

 

水に溶けた「こうぞ」のつなぎとして使われるのが、「トロロアオイ」という植物です。埼玉県小川町は、「細川紙(ほそかわし)」で有名ですが、全国各地の和紙産地から、この「トロロアオイ」の需要は絶えません。和紙作りに使うのは、「トロロアオイ」の根の部分です。

 

「トロロアオイ」は、オクラに似た葉の形をしています。根を十分に生育させるには、炎天下の夏の間の芽かきなどの作業が欠かせません。和紙に使用するので、除草剤が使えず、手作業での草むしりが必要になります。栽培自体も難しい農作物にもかかわらず、労働量に見合う収入が得られないこともあり、後継者が途絶え、現在の生産農家は、日本全国で、たった7軒だそうです。

 

絵画などの芸術作品は、時間の経過とともに劣化します。その補修には、高質な和紙が使われ、「こうぞ」や「トロロアオイ」といった自然素材が必要になるのですが、供給がままならないのです。「麻糸」「真綿」「夜光貝」などの自然素材も、今後、供給量が激減することが危惧されています。

 

文化庁は、来年度から「文化財の匠(たくみ)プロジェクト」の取り組みを始めるそうです。原材料確保の問題だけでなく、職人の育成にも力を入れます。

 

現在、日本の伝統文化を守るための優れた技術を持つ「選定保存技術」の保持者は53人いるそうです。しかし、平均年齢は73歳です。

 

サマーキャンプで訪れた「和紙の里」には、「紙すきの文化を守りたい」という20歳代の若者と話ができました。彼は、生まれ育ったこの土地に恩返しがしたいといいます。日本の伝統文化を守り、継承していくには、若い力が必要であることは言うまでもありません。どうすれば、若者が「自分が引き継ぐ!」と言ってくれるのか・・・これは、人ごとではありませんね。