大日向小学校の今

今日は、屋上ファームのミニトマトの初収穫です。ざっと15個ほどの真っ赤なミニトマトが収穫できました。4月末に子どもたちが植えた苗が、ようやく実りました。今日は、早い者から1人1個ずつですが、これから子どもたちのミニトマトのつまみ食いの日々が続くのです。(笑)

 

さて、日本発のイエナプラン認定校として、2019年に開校した「大日向(おおひなた)小学校」での日常です。

 

机に向かってひらがなの練習をする1年生のすぐ横で、3年生が漢字の書き取りに取り組んでいます。少し離れた場所では、床に座り、長椅子を机代わりにして算数のドリルに向かう2年生。廊下に出て勉強する子どももいます。上級生が下級生に解き方のヒントを教えたり、みんなで一緒に考えたりしています。

 

「自然と共に生きる」をテーマにした授業では、車座になった10人ほどが森の中での過ごし方を話し合っています。「何かをつくりたい」という案に、「秘密基地!」と賛同する声。その横では、別のグループが図鑑をめくり、植物について調べています。同じテーマで、地域の人にインタビューする日もあるそうです。

 

イエナプランの大きな特徴の一つが「異年齢教育」です。大日向小学校では、1~3年・4~6年で、それぞれ異年齢の集団を形成しています。開校3年目の今年度は、1~3年生が3クラス、4~6年生が2クラスの127人が学んでいます。児童の約8割が他県からの移住者です。大日向小学校がある長野県佐久では、ちょっとした移住ラッシュとなっているようです。

 

大日向小学校は、フリースクールではありません。学校教育法第1条で定められた、いわゆる「1条校」ですので、授業は、学習指導要領にのっとり教科書も使います。しかし、教室には黒板がありません。黒板がないので、通常の小学校ではあたりまえに行われる一斉授業がほとんどありません。

 

理想的な表現を用いると、「教員が一方的に教えるのではなく、子ども自身で何をどう学ぶかを決める」そんな教育が行われているのが、大日向小学校なのです。

 

大日向小学校やイエナプランが掲げるのは「自立」「個人の尊重」「共に生きる」などですが、それって、決して新しいことでも、画期的なことでもありません。たぶん、日本の多くの教員が、目指していきたいと考える内容です。しかし、それを実現できている現場は、決して多くないのが、日本の学校現場の実態です。

 

「先生一人ひとりは、個人を尊重しようと思っているし、試行錯誤を繰り返して本当に頑張っている人が多い。それでも、特に大規模校では一律の方法で教えることや決まったペースで授業を進めることが求められる。教職員のアイデアが大事にされることも少ない」と大日向小学校の桑原校長は、15年ほど前から、だんだんと学校現場に余裕がなくなってきたと感じているそうです。

 

学校理事の中川さんは「これまでの学校での学び方は大きく見ると一斉授業型がほとんどで、一人ひとりにあった学び方や環境を作りたいというのが一番の願いでした。必ずしもイエナプランだけがいいわけではなく、大切なのは、本当の意味で『学び方を選択できる』ことだと思っています」と言います。

 

私は、イエナプランの勉強会で、中川さんの話を何度も聞きましたが、イエナプランだけではないという多様性を認めるところが、彼女の本心です。

 

今後、愛知県・広島県・茨城県つくば市などで、イエナプラン校が具体化されています。「一人一人の学びに向き合う」ことは、「そんなの理想だよ・・・できるわけがない!」と言ってしまえば、それまでです。理想に向かって、日本の義務教育も変わっていくのです。

 

保育園ホワイトきゃんばすも、イエナプランを参考に、異年齢保育の中で、一人一人の個性に向き合う保育を目指しています。まだまだですが・・・