持ち家派VS賃貸派

昨日から、教室内に新しいテントが登場しました。今まで使っていた「メルちゃんのおうち」がボロボロになってしまったので、インデアン式のテントです。しばらくは、テントブームが続きそうですが、狭い空間が子どもたちは大好きですね。 

 

さて、今日は「持ち家派VS賃貸派」の話です。人間の事ではなくてイカの話です。イカの身体の中には、「イカの皿」という平たくて硬い板状のものが入っています。一見、骨のように見えますが、イカは軟体動物なので、骨構造を持ちません。では何?・・・なんと、あれは貝殻の名残りなのです。

 

世界中で「アンモナイト」の化石が出土していますが、巻貝のように思えるアンモナイト、実は貝ではなく、イカの祖先だそうです。日本でもあらゆるところからアンモナイトの化石が出土しているので、1億年以上前の太古の海では、成功を収めていた生物でした。

 

ところが、アンモナイトは現存していません。絶滅の理由は定かではありませんが、こんなシナリオが想定できます。アンモナイトは、その殻を維持するために、たくさんのエサを食べなければならなかったのです。体が大きくなるにつれて殻も大きくしなければなりません。エサは、エビやカニといった海洋生物でしたが、おそらく急激な気候変動によるエサの激減が、絶滅の原因なのではないか・・・と言われています。

 

つまり、持ち家には大きな維持管理コストとリスクがかかるというわけです。人間と同じですね。

 

そこで、気候変動の前に、アンモナイトの一派は、別の方向に進化の舵を切っていたのです。殻を脱ぎ捨てて、持ち家を諦めたのです。殻を捨てれば、どこにでも素早く移動できるし。殻を維持するカルシウムもそれほど必要なくなります。敵に出合うと柔らかいので危ういけど、殻を捨てた分、身軽になり、狭いすき間に逃げ込むことができたのです。こうして、現在のイカへの進化が成功するのです。つまり、イカにおいては、持ち家派ではなく賃貸派が生き延びたということになります。

 

現在の多種多様な貝類は、逆にエサが豊富な浅瀬などで、殻を維持する方向を選んだのです。こちらは、持ち家派ですね。

 

人間も多くの生き物も、自分の生き方のスタイルを貫けるかどうかで、持ち家か賃貸かを選べばいいのです。