ハンク・アーロン

昨日は、ハンク・アーロンさんが86歳で亡くなった報道が、各メディアで取り上げられていました。

 

私が、ハンク・アーロンの存在を知ることになったのは、子どもの頃、王貞治の756号世界記録を、当時の後楽園球場で見た時です。ハンク・アーロンのメッセージが、バックスクリーンに映りました。

 

それ以降も、アーロンさんと王さんの交流は続き、現役引退後の1990年に、世界少年野球大会を設立します。そこで、アーロンさんは「私は、子どもたちをホームラン打者にしたいわけじゃない。大会後も文通をしたり、交流を続けてもらえれば」と語ります。

 

ハンク・アーロン以前の大リーグホームラン王は、あの有名なベーブ・ルースの714本です。ベーブ・ルースの記録を破る時には、人種差別的なバッシングを受けたそうです。現在、大リーグのホームラン記録を持つバリー・ボンズさんは、「逆境を乗り越えた先駆者となり、後に続いたアフリカ系米国人の選手に手本を示した」と感謝のコメントを残します。

 

黒人初の米大統領となったバラク・オバマさんは、「最高の野球選手の一人であり、私が今まで出会った中で最も強い人間の一人だった」と言います。ハンク・アーロンさんは、現役引退後も公民権運動を続け、野球同様に、人種間平等の大使であったと、アメリカのマスコミは称えています。

 

ハンク・アーロンさんの印象に残る最近のコメントは、イチロー選手が日米通算でピート・ローズの持つ大リーグ通算安打記録に迫っていた時期です。

 

「イチローが日本と米国の両方で成功したことは誰でも知っている。日本でスターだった選手が大リーグでキャリアを積み重ね、堂々とプレーする姿を見るのはうれしい」と語りました。「人種や言葉の違いを超えて認め合い、尊重し合う関係を作ろう・・・」という偉大なレジェンドのメッセージには重みがあります。

 

現在、野球に夢中の保育園の園児たちは、ハンク・アーロンどころか、王貞治さえ知りませんが、私の心には、人間としても一流の野球選手の一人として、ハンク・アーロンは残り続けるのです。