生き物の死にざま⑤ ミツバチ

お正月には、おせち料理にお雑煮を食べて、朝から酒を呑む・・・こんな元旦の過ごし方をまた今年も楽しんでいましたが、今年のおせち料理はざっと前年よりも10%も売上が伸びたそうです。

 

キーワードは「高級おせち」と「個食おせち」だそうです。毎年、正月に海外旅行に行くような富裕層が、「どこにも行けないから、せめておせちは豪華に!」という需要と、コロナ禍で、一人一人が個食パックで食べきるタイプのおせちが早々に売り切れたそうです。

 

日本の食文化として、おせち料理は大切にしたいですね。家で作ることがなくなり、「おせち料理需要」は、ここ20年で、倍の市場規模になっているそうです。

 

さて、お正月が終わって、日常の朝食に戻ると、私の場合は、ほとんどパン食です。トーストに、たっぷりとハチミツをぬって食べるのが大好きです。しかし、ミツバチが一生かけて働きづめに働いて、やっとスプーン一杯のハチミツを集めるそうです。

 

ミツバチの巣には、一匹の女王バチと数万匹もの働きバチがいます。女王バチから生まれた働きバチはすべてメスです。自らは子孫を残す機能を持っておらず、集団のために働き、そして死んでいくのです。

 

ミツバチの世界では、たくさん生まれたハチの幼虫から、女王になるハチが選ばれます。その選抜の過程など詳しいことはわかっていませんが、選ばれた幼虫は、ロイヤルゼリーという特別なエサを与えられて育つことによって、体の大きい女王バチになるのです。

 

大勢の働きバチの仲間は、同じ女王バチから生まれた姉妹ということになります。姉妹は親から遺伝子を引き継いでいるから、彼女たちは巣の仲間のために一生懸命働くのです。

 

女王バチは数年生きて、毎日数千個の卵を産みますが、働きバチの寿命はわずか1か月です。その間に、働くだけ働くのです。

 

成虫になった、働きバチに与えられる最初の仕事は、密集めではなく内勤です。巣の中の清掃や幼虫の子守だそうです。次に、巣を作ったり、集められたミツを管理するなど、責任ある仕事を任されるようになり、働きバチのキャリアにとっても輝かしいときです。

 

働き盛りが過ぎてミドルを過ぎたミツバチたちに与えられるのは、危険の多い仕事です。まずは、巣の外でミツを守る護衛係です。そして、働きバチのキャリアの最後の最後に与えられる仕事こそが、花を回って蜜を集める外勤の仕事なのです。

 

しかし、ミツを集める仕事は、常に死と隣り合わせです。クモやカエルなど天敵がうじゃうじゃいて、強い風に雨にも打たれます。巣に無事に戻ってこれないハチもたくさんいます。戻ってきたハチは、何度もミツや花粉を集めるために、この仕事を繰り返すのです。

 

そして、飛び立った働きバチは、どこか遠くで命が尽きます。それは、お花畑かもしれません。そして、一匹の働きバチは、生涯でスプーン一杯のハチミツを集めるのです。

 

高度成長期からつい最近まで、休みなく働く日本のサラリーマンは、世界の人々から「働きバチ」と揶揄されていましたね。日本のサラリーマンの生涯収入は2億円といわれてますが、ミツバチなら、スプーン一杯のハチミツなのです。

 

人間の方は、働き方改革で「働きバチ」状態は改善されていますが、ミツバチの世界では、相変わらず、働きバチが1か月の生涯を懸命に働き続けているのです。