日本シリーズを終えて・・・

私が子どもの頃は、巨人戦は毎日テレビ放送されていました。父がビールを飲みながら私に解説をします。そんな環境ですから、私も含めて、将来は「プロ野球選手になりたい」という男の子ばかりでした。

 

時代が流れ、野球以外のスポーツが広がっていきます。そして、テレビ局も、ゴールデンタイムの視聴率が野球では取れなくなると、地上波から野球放送がなくなっていきました。

 

しかし、日本シリーズだけは違います。選手たちは日本一をめざす戦いを短期決戦のなかで繰り広げます。監督の采配も、ペナントレースとは違ってきます。

 

私は野球小僧で、学生の頃はソフトボールをしていたので、「日本シリーズの観戦ではスコアブックをつける」というルーティンでした。スコアブックをつけることは、その試合を真剣に観ることにつながると思ったからです。

 

今年の日本シリーズ・・・もし4勝3敗までもつれ込んだら、今日が最終戦となり、日本一のチームが決まったのですが・・・昨年と同じ、ソフトバンクの4連勝という言い方がいいのか、巨人の4連敗という言い方がいいのか・・・とにかく、観る側からすると、何ともあっけない、日本シリーズとなってしまいました。

 

東京ドームで試合ができなかったり、全試合パリーグのDH制で行われたので、巨人が不利だった・・・と巨人ファンは嘆き、それぞれの野球解説者がコメントを残していますが、元巨人の桑田真澄さんが、こんなことを言っていました。

 

「ソフトバンクの選手は、自分で考えて野球をやっているから、楽しんで野球をしていた」と。

 

野球というスポーツは、各選手がバラバラなことをすれば、試合運びがうまくいきません。1塁ランナーが盗塁を成功させるには、盗塁のサインが出ていることをバッターが共有し、ストライクでも打たないか、わざと空振りして、キャッチャーの送球を遅らせる必要があるのです。すべて監督のサインです。

 

しかし、監督の采配だけを守って、その通りに野球をするだけでは、指示待ちのサラリーマンと同じですね。選手個々が、常に考えて、「この場合は○○する」という考えを持っているチームが、ソフトバンクのように日本一となり、選手が楽しんで野球をすることにつながるのです。

 

野球で、監督がサインを出さないのは、敬遠を除いたキャッチャーの配球です。今年亡くなられた野村さんの解説で、キャッチャーの配球がいかに大切かを私たちは学びました。次のレベルは、どれだけ、選手個々が考える野球ができるか・・・ですね。

 

自分で考えて、自分で最高のプレーを実践する・・・それができる選手を見つけるのも、プロ野球を10倍楽しく見る方法かもしれませんね。