ユニセフから2019年の活動報告が届きました。昨今、日本でも「子どもの貧困の格差」が大きな社会問題となっており、一部の人から「ユニセフの世界の子どもたちに対する活動は理解できるけど、まずは、日本国内の問題解決が先でしょう・・・」という声もあがります。
ボランティア、支援活動についての考え方は、それぞれあるでしょうが、世界の子どもたちの間で起きている惨状は、生きるか死ぬかの問題で、間違いなく、日本では考えられないことが起きていることだけは事実です。
保育園の子どもたちの中で、過去に肺炎で入院した園児が何人かいます。しかし、日本の医療環境の中で、命を落とすことはまずありません。しかしながら、世界では約39秒にひとり、80万人以上の5歳未満の子どもたちが、肺炎で命を落としています。
日本人が、長寿国になった理由の一つは、医療技術の進歩により生後1か月以内での死亡が劇的に少なくなったことがあげられます。しかし、世界では約15万3000人が生後1か月以内に肺炎で亡くなっています。
ユニセフの活動報告を読んでいると、とても心が痛みます。
中東のイエメンの人々は、紛争の影響で、安全できれいな水を手に入れるために、子どもや女性が給水地までの長い道のりを歩き、給水トラックを待たねばなりませんでした。しかし、喉がかわいた子どもたちは、汚染された水を飲んで、下痢で命を落とすこともあったのです。水を当たり前に使うことができる日本では考えられないことですね。
アフガニスタンでは、紛争や干ばつで、故郷を追われ難民キャンプでクラス10歳の女の子は、5歳の時に30歳も年上の男性と婚約させられました。「食べ物に困るほどお金がなくて・・・娘を婚約させるしかありませんでした」と母親は言います。婚約した女の子が外出することは恥という文化があるそうで、世界には、まだこんな国があるのかと考えさせられます。
アフリカのチャドという国は、18歳を前に結婚する女の子が多く、若くして妻・母としての責任を負うことになります。そこには、「女子教育」という概念がほとんどありません。貧困、早婚、厳格な男女の役割分担、偏見といった、様々な原因で、女子教育が阻まれています。「女子教育の促進には男の子も巻き込むべきだと思う。学校に通う女の子に、何のために女子に学ばせるんだよって言う男の子もいるのよ」と、数少ない学校に通う中学生の女の子が言います。
まだまだ、多くの報告事例が有りますが、ユニセフだけでなく、様々な支援団体の力で、これらの改善が進められています。
保育園の役割の一つは、子どもたちに、世界で起きている同じ子どもたちの現実を伝える事でもあります。戦争や紛争に直面したことがない子どもたちに、平和な日本を継続してもらわねばなりません。