速度が増すにつれ、体がふわっと浮き、後方に引っ張られる感覚にとらわれた。車窓の街並みは視界から消え去り、前方の速度表示画面の数字はぐんぐん上昇。「500km」に到達した。
これは、リニア中央新幹線の走行実験に乗車した人の感想です。2027年開業予定のリニア中央新幹線は、東京(品川)から名古屋は40分、大阪まで67分で結ばれます。私が住むJR川越線指扇駅から埼京線直通で新宿まで通勤電車で揺られている時間で、名古屋に到着しているという計算です。
1964年前回の東京オリンピックが開かれた年に、夢の超特急「新幹線」が開業し、日本の高度経済成長を支えました。そして、半世紀以上の時を過ぎて、2回目の東京オリンピックが来年行われ、いよいよリニア中央新幹線が開業するのです。
リニアモーターカーは、私が子どもの頃からずっと「いつできるの?」と先延ばしされてきました・・・でも、ようやく現実となったのですが、私の年齢もおやじとなってしまいました。(笑)
東京から名古屋、大阪までの商圏で、日本の約6割超の約3300兆円のGDPとなる計算です。そして、約6600万人が1時間余りで行き来できる世界でも類を見ない巨大都市圏が生まれることになります。こうして数字を出すと、凄いことですね。
しかし、日本は高度成長期ではなく、人口減や高齢化社会に直面しています。リニア中央新幹線が新たなライフスタイルを作り出すかもしれません。もちろん、経済ではありません。
リニア新幹線が通る、山梨県や長野県、岐阜県など、自然の中で生活し、数時間をかけての遠距離通勤をしなくても、仕事ができる環境が整います。また、地方に企業が移転して、新たな「働き方」が生まれる可能性もありますね。
モノではなく、あらたなコトが、たくさん生まれてくるような予感がします。のんびりと「呑み鉄」を楽しむ私には、リニア中央新幹線には、鉄道としての魅力は感じませんが、違うところで、私たちの生活が変わることにつながるかもしれませんね。