子どもの素敵な写真から「10の姿」

昨日、ファームの大根を間引いた「大根の葉」をお土産に持って帰った5歳男の子。おうちでママが実験をしてくれました。しおれた葉を水につけると・・・あれっ!葉っぱがピンとしたのです。水分を含んだ葉が、元気になったのです。うれしい実験ですね。

 

さて、昨日のさいたま市保育園「実践報告会」で、針ヶ谷保育園の発表が、とても素晴らしかったので紹介します。

 

担任が、「子どもたちの素敵」を写真を撮り、持ち寄ります。その写真を見ながら、幼児期の終わりまでに育って欲しい「10の姿」に落とし込み、職員同士で共有し、保育の質の向上につなげるという内容です。

 

ご存知のように、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省、子ども園は内閣府というように、管轄が分かれています。いわゆる縦割り行政と言われるものです。

 

これが、2018年度の改定で、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」という具体的な内容で、共通の項目として設定されたのです。保育園、幼稚園業界としては、これは、画期的なことなのです。

 

「10の姿って何?」と思う方もいるでしょうから、確認しておきます。

①健康な心と体

②自立心

③協同性

④道徳性・規範意識の芽生え

⑤社会生活との関わり

⑥思考力の芽生え

⑦自然との関わり・生命尊重

⑧数量・図形、文字等への関心・感覚

⑨言葉による伝え合い

⑩豊かな感性と表現

 

もうお気づきですね。この10の姿は、幼児期だけでなく、小学校、中学校、高校、もっと言えば、私たち大人にとっても、とても大切な行動指針となります。保育所保育指針にも幼稚園教育要領にも、幼児期で完成されるものでなく、小学校への引継ぎ事項として、子どもたちの成長を見守る必要があるとうたっています。

 

こんな意義ある発表のあとは、ついつい意見をしてしまうおやじ園長です。

 

年明けに、卒園する年長園児が就学する小学校で、「保幼小連絡協議会」が行われます。目的は、園児を小学校へ送り出す前の引継ぎミーティングです。ホワイトきゃんばすは、卒園児の人数が少ないので、一人一人の「10の姿で成長を感じた内容(できたできないの評価ではない)」「直近1年間の毎月の成長記」を小学校に提出しながら、引継ぎをしています。

 

現実には、多くの幼稚園も保育園も「○○君の家庭は○○」「○○家と○○家は仲が悪いので、一緒のクラスにはしないでください」といった、ネガティブ情報の交換会となっています。小学校も、クレームのリスクを回避するために、この情報は必要なのです。

 

これからの、小学校との引継ぎに、あらたに子ども一人一人の「10の姿」を加えることで、子どもたちの成長の本質についての引継ぎができるのです。

 

針ヶ谷保育園には、是非、この素晴らしい記録を保幼小連絡協議会に反映させてくださいとお願いをしました。

 

総評を行った、東京家政大学の教授も、「10の姿」は素晴らしい内容なのに、これを活かしきれていない・・・と、私の発言に喰いついていただきました。

 

そして、忘れてはいけないのが、「10の姿」の保護者との情報共有です。9月に行った個人面談で、保護者が感じる我が子の「10の姿」と保育園で見られる「10の姿」のすり合わせをする機会を設けましたが、まだまだ不十分であると思っています。

 

ということで、昨日は、針ヶ谷保育園の発表をきっかけに、参加した多くの保育者が、それぞれ「10の姿」を自分の保育にどうつなげていくかを考える時間になりました。充実した保育研修となりました。