先日、卒園児の小学1年生が授業参観で、「ハイ!ハイ!」と手を挙げて、後ろにいるママの存在も意識しながら、積極的にアピールしていたようです。その男の子に直接話を聞くと「間違えているかもしれないけど、手を挙げたんだ。でも、やっぱり間違えちゃった」と笑いながら話してくれました。
1年生になった卒園児7人の中では、彼は積極的に手を挙げるタイプではなかったのですが、保育園の取組みの一つに、「朝の会での当番さんインタビュー」があります。
「朝ご飯は何を食べましたか?」「週末はどこに遊びに行きましたか?」「今日は屋上で何をして遊びますか?」など、簡単な質問を主任の先生がインタビューします。声が小さくても、恥ずかしくて時間がかかっても、質問とかけ離れた答えを出しても何でもOKです。ここでは、大人が求める正しい答えは不要です。
こうして、少しずつ人前で話をすることに慣れていきます。年長年中は、年に3回、近くの老人福祉施設を訪問し、一人ずつインタビューを受けるのですが、おじいちゃん・おばあちゃんたちがビックリするくらい、元気に笑顔で答えています。
さて、小学校の教室には「はい。○○です。理由は△△だからです」という発表する時のマナーを教える掲示をよく目にします。しかし、子どもたちにとっては「手をあげて発表しましょう」という投げかけは、大きなプレッシャーですね。
挙手をして、先生に指名されないと意見を言えない・・・という暗黙のルールがある教室は、まだまだ全国にはたくさんあるような気がします。しかし、保育園の子どもたちを見ていると、全ての園児が、積極的に手を挙げて発言する外向的な性格の子は、むしろ少数派です。手を挙げるには勇気がいるものです。そうなると、自分の意見があっても、発表できないままに終わってしまいます。
先生だけでなく、私たち大人は、積極的に手を挙げて、自分の意見を言える子の話に耳を傾けてしまいますが、手を挙げられないけど、「こう思っているんだ」の声を拾うことが大切であることを意識したいですね。
「間違えてもいいから・・・言ってごらん」「大丈夫だよ・・・マネしてもいいよ」「他の子に教えてもらってもいいから、言ってごらん」など、挙手できない子の発言を促すことやポイントが外れた答えでもきちんと話を聞く姿勢が大事ですね。
「早く話をして!」「言っている意味がよく分からないよ・・・」なんて発言を私も無意識にやってしまうことがあります。大人になれば、会社などの組織で、自分で発言できない人は、認められないことが多くなります。
子どもたちが、大人になるまでに、自分の意見を人前で言えるようになってもらうためにも、「挙手発表」のアプローチ以外に、子どもの意見を引き出すことを考えないといけませんね。