児童養護施設から大学へ

今日は、1・2歳児を中心に、「ミドリガメのおうち」のまわりに集合です。カメたちがエサを食べる姿を観察しました。子どもたちが、周りを囲んで「ワイワイぎゃぎゃー」言っているのに、平然とエサを食べるカメもいます。さすが、繁殖力が強いミシシッピアカミミガメです。

 

さて、虐待や親の病気などを理由に親元で暮らせない子どもが生活するのが、児童養護施設です。全国各地で約2万6千人の子どもたちが共同で生活をしています。

 

18歳の春。多くの若者たちが新生活をスタートさせる時期ですが、児童養護施設で暮らす若者にとっては、施設を出て自立することが求められる厳しい季節です。大学進学を希望するなら学費や生活費を自分で工面する必要があります。

 

2018年度の大学進学率は16%で、全国平均の55%と比較すると1/3以下と大きな差があります。進学のハードルになっているのは、経済的事情以外にも、生活習慣が身についていない子が多く、塾に通うのも難しいことから、「学力」の壁もあるようです。

 

この春大学に入学したある若者は、高校生活と並行して、コンビニでのアルバイトにも精を出し、月6万円のバイト代は、スマホ代以外はすべて貯金にまわし、2年半で200万貯めたそうです。そのお金があったからこそ、大学進学の選択が可能になったといいます。

 

そして、最近では児童養護施設の子どもを支援する大学も増えてきたそうです。中でも、青山学院大学では全国的にも珍しい、施設出身者に限定した推薦入学制度を18年度に始めました。書類審査と面接に合格した生徒は、入学金や4年間の授業料が無料になり、さらに月に10万円の奨学金が給付されるとのことです。

 

入学した若者は、小学校6年生の時に読んだ「ひとりぼっちの私が市長になった!」が心の支えになったと言います。児童養護施設出身で茨城県高萩市長になった草間吉夫さんの著書です。

 

「施設にいた頃の葛藤とか、出た後の経済的な大変さやまわりの視線など、苦しい環境を乗り越えて、誰もが挑戦しないようなことをやっていてあこがれました。施設から大学へ行く子は少ないけど、私も誰かを勇気づけられる人になりたいと思ったんです」と語ります。

 

私は、児童養護施設で暮す小学校5年生の女の子の存在が身近にあります。彼女が、施設で育ったことがマイナスでなく、プラスに変えられるような人生を見つけてほしいと常に思っています。

 

児童養護施設で生活する子どもは、少子化の日本でも、減っていないのが現状です。