埼玉ゆかりの文学者

ゆっくりと文学作品を読むことなど、ほとんどないという人が多いと思いますが、私もその一人です。そんなことで、今日は小学生と年長園児を連れて、埼玉県桶川市にある「さいたま文学館」に行ってきました。

 

さいたまにゆかりのある文学者の経歴や初版本などの貴重な資料が展示されています。埼玉県羽生市周辺を舞台にした『田舎教師』は、「田山花袋(たやまかたい)」の作品です。また、「武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)」は、志賀直哉らと文芸雑誌「白樺」を創刊し、白樺派を代表とする作家として活躍し、埼玉県毛呂山町に「東の村」を建設し活動をしました。

 

ここらへんは、今日からスタートしたセンター試験で出題されるような内容かもしれませんね。

 

さて、子どもたちは、こんな文学館に連れて行って楽しいのか!?・・・ですが、もちろん、田山花袋も武者小路実篤もスルーです。しかし、館内のクイズコーナーのモニター画面に釘付けです。

 

「映画となりのトトロに出てくる、大きなトトロは何歳ですか?」など、日本のアニメや、サマーキャンプで親しんだ「ムーミン」の問題、イソップ、グリム童話などの三択問題に夢中になっています。

 

どちらかと言えば、堅苦しい「さいたま文学館」でしたが、子どもたちの感想は「すごく楽しかった!」とのことです。本が好きになるきっかけになればいいですね。

 

私が夢中になったのは、「森村誠一」コーナーです。中学生の頃に、「人間の証明」「野生の証明」という角川映画の戦略に見事にハマってしまった世代です。野生の証明の主人公は高倉健さんですが、ヒロイン役として、オーディションに合格したのが、薬師丸ひろ子さんでした。私と同じ年です。

 

「人間の証明」が映画化され、「森村誠一」の名前が一気に全国区になったのですが、森村さんは当時44歳です。それなりに人生経験を積んでのメジャーデビューです。彼は、埼玉県の熊谷市に生まれます。地元の高校を卒業しいったん就職するも、自分が運転する車が故障した時に大学生に助けられ、「大学へ行くのもいいかも」と、青山学院大学に入学。卒業後、ホテルマンとなります。

 

勤務していたホテルの前に、文藝春秋の社屋ができ、当時の流行作家がホテルを定宿にして執筆活動をしていたそうです。フロントマンの森村さんは、親しくなった作家から原稿を預かり、編集者に渡すよう頼まれるようになります。そして、その原稿を盗み読みし、続きを自分なりに書いてみると、「俺の方が面白い」と思えて、自信をつけるようになります。これが、森村さんの作家デビューのきっかけだったそうです。

 

文学者という仕事は、ほんの一握りの人しか「儲かっていない」という印象を持ちますが、ベストセラー作家の「森村誠一」も、人生いろいろの道を歩んでいますね。ただし、子どもの頃から「本の虫」だったそうです。

 

保育園の子どもたちには、本をたくさん読んで、自分の世界をどんどん広げてもらいたいと思った一日でした。

 

「さいたま文学館」・・はい。決して面白い場所ではありません。学ぶ場所です。(笑)