栃商デパート

7月に保育園にやってきたヘラクレスオオカブトは、今日も元気に昆虫ゼリーを食べています。もう7カ月も生きています。そのヘラクレスオオカブトの横で、小さなクワガタがゼリーを食べていました。夏に採集したコクワガタです。コクワガタは越冬するので、一緒に生きていました。真冬に、カブトムシとクワガタ観察は違和感がありますが、子どもたちにとっては、いつまでも刺激的なのです。

 

さて、先日の「銚子おやじ旅」でも、銚子商業の生徒が、自分たちで企画した「キャベツメロンパン」「トマト甘食」を銚子電鉄で車内販売していましたが、最近は、起業につながるような取り組みを行う高校が増えてきました。

 

栃木県立栃木商業高校では、32年間も継続した、地域密着の取組みをしています。「栃商デパート」というデパート形式の学校祭です。物販だけでなく、食堂でカレーやうどんを提供したり、野外のテントでメンチカツや焼き鳥の販売をしたり、扱う内容が多彩です。

 

1年生は、商品や流通に関する理論と会計を学びながら、販売体験をします。2年生は、マーケティングの学習などを踏まえながら、自分たちで損益計算なども行います。3年生は、「総合実践」の授業で仮想企業の設立も行うそうです。

 

どうですか・・・1年生から3年生までの各クラスで、1店舗を出店する本格的な内容です。近隣の特別支援学校の生徒が販売体験に加わったり、保育園、幼稚園の作品展示や小学生対象の野球教室、吹奏楽部コンサート、地元企業の協力などで、毎年4000人以上が来場する大イベントに発展したそうです。

 

栃商デパートは、毎年11月に行われるそうですが、準備は早くからスタートします。夏休みには、生徒が協力商店に出かけ、仕入れの量や値付けだけでなく、商品は委託なのか買取りなのかといった条件が、損益に大きく影響することも学びます。

 

委託と買取りの違いは分かりますか。委託は、商品の販売も含めて先方にお願いして、売上の例えば15%を場所代としていただくという商売です。買取りは、返品なしで商品を例えば80%で買い取り、販売は、生徒が行うという商売です。

 

地元名産のソーセージの販売で10万円の売上があったとすれば、人件費がかからない委託販売では、15%の1万5千円が粗利益となります。これが、買取りで自分たちが人件費をかけて販売した場合、20%の2万円が粗利益となります。

 

数字上は、買取の方が粗利益が高い計算ですが、通常の商売では、3人の販売スタッフで2万円の人件費がかかると考えると、最終利益がゼロになってしまうのです。買取り販売にするなら、売上金額をもっと高く設定しなければならないことを生徒たちは認識するのです。

 

栃商デパートの運営を通じて、生徒たちは、現実社会の商売のあり方を学びます。もちろん、販売接客を通じての地域の人たちとのコミュニケ―ションの楽しさも経験します。中には、いつか「起業したい!」という若者も出てくることでしょう。

 

一度、栃商デパートへショッピングに行きたいものですね。