虐待による幼い子どもの死の報道がなされるたびに、私たちは「児童相談所がちゃんとしていれば・・・こんなことにならなかったのに!」と、知ったようなセリフを言ってしまいます。
ここで、ちょっと待った!です。
児童虐待の最前線で対応にあたる児童相談所は、全国212ヶ所に置かれています。その全国の児童相談所が対応した虐待件数が17年度、過去最高の13万3778件を記録したそうです。この5年で2倍に増えたそうです。
ホワイトきゃんばすでは、まだ一度もありませんが、保育園も、行政からの指導で、虐待の疑いありきは、児童相談所へ通報の義務があります。
虐待件数が、5倍になったにもかかわらず、児童相談所で虐待対応の中核を担う児童福祉司の数は、現在約3200人で、同じ5年間で、1.2倍になったに過ぎません。
児童福祉司一人当たりの逆隊の対応件数が最も多いのは、埼玉県と大阪府の年間64人です。一人の職員が1年間で対応できる子どもは、きめ細かく対応しようとすれば20人程度だそうです。埼玉県と大阪府は、約3倍の人数をこなしていることになります。
どうやら・・・児童相談所がちゃんと対応していれば・・・と批判するだけでは、悲しい虐待死は解決できません。
そもそも児童相談所は、まず虐待されている子どもの身柄を保護し、次に必要な場合は一時保護施設に入れ、そして保護者や子どもを支援するのですが、私も、過去に虐待ではないですが、同じようなケースを知ります。
とても不思議な仕組みと思いました。これは、保護者から強制的に子どもを引き離し、それでいて一緒に頑張りましょうと握手を求めるようなものです。これで、保護者と良い関係を築けるはずがありませんね。
欧米では、警察が子どもを保護し、司法が一時保護所に入れる判断を下します。日本では、児童相談所がそれを担っているのですから、負担が多いと言われる理由です。
児童福祉士の質を確保するために、国家資格のような位置づけにするなど、様々な議論がありますが、子どもたちは、明日の日本を担う大きな宝物です。今、仕組みを変えなければならない時と言えるのです。
ある、児童相談所の職員が言います。
「対応した子どもが大人になり、こう言ってくれた。『あの時、大人は誰もぼくの話を信じてくれへんかったけど、ここでは僕が親にされていることをちゃんと信じて対応してくれた』子どもが変わっている姿が私たちの原動力です」