1983年伝説の日本シリーズ

日本シリーズを観戦する時は、見る方も緊張します。選手交代や1球1球の配給など、見どころがたくさんあり、深掘りできます。私も、「ビールでも飲みながら楽しむ・・・」ではなく、正座状態で真剣に見ていました。学生の頃には、スコアブックをつけながら観戦したこともあります。

 

今年の日本シリーズのMVPは、ソフトバンクホークスの捕手甲斐選手が獲得しました。育成出身選手として初めての日本シリーズMVPです。育成出身と言えば、ホークスのお化けフォークを投げる千賀投手が有名ですが、鳴り物入りで入団するドラフト1位指名の選手に対する判官びいきもあり、育成出身をなぜか応援したくなりますね。

 

実は、MVPの甲斐選手は、6試合で一度もヒーローインタビューのお立ち台に立っていません。これは、本当に珍しいことです。レギュラーシーズントップの95個の盗塁の広島カープに、6連続で盗塁を阻止し、一度も盗塁を許さなかったことが評価されたのですが、過去にも一度だけ、6戦までお立ち台なしで日本シリーズのMVPを獲得した選手がいます。

 

1983年西武対巨人の伝説の日本シリーズで、MVPとなった西武の大田選手です。みなさん、大田選手を知っていますか?

 

私は、毎年日本シリーズを見るたびに、1983年を思い出してしまいます。いつか、この日本シリーズを超えるような凄いシリーズをやってくれないか・・・と期待するのですが、いまだに、私の中では、1983年を超えるシリーズはありません。

 

当時のメンバーは、巨人は、江川投手・西本投手・中畑選手といったスター軍団です。西武には、晩年の田淵選手に、東尾投手、松沼兄弟が投手でいました。まだ、西武に清原選手や現在ソフトバンクの監督の工藤投手が入団する前の時代です。

 

監督は、巨人藤田監督に、西武は広岡監督です。4勝3敗で西武が勝ったのですが、サヨナラゲームが3試合もあり、特に第3戦以降は、先制したチームが、すべて負けるというスリリングな展開となりました。巨人は球界のエースと言われた江川投手が打ち込まれ、西武は、当時のセーブ日本記録保持者の森投手も打ち込まれます。

 

田淵選手は「夢に出てくるくらい、江川のビデオを何度も見た」と言い、西武の広岡監督は「巨人に王手をかけられても所沢(西武球場)に戻ってくれば、必ず日本一になれる」と選手に言い聞かせていました。

 

そして、その通り、巨人の3勝2敗で、西武球場で第6戦が行われました。9回裏、巨人が1点リードで1アウトまできました。そこで打席に入ったのが、西武の大田選手です。彼がセンター前ヒットで出塁し、延長10回江川投手から、デットボールパフォーマンスで有名だった金森選手がサヨナラヒットを放ち3勝3敗の逆王手をかけます。

 

日曜日に行われる予定だった第7戦は、雨により月曜日に順延となります。そこで、巨人は、このシリーズで2勝をあげている西本投手を中1日で先発に送ります。巨人2点リードでの7回裏、テリー選手が満塁から走者一掃の2塁打を放ち、東尾投手がロングリリーフで巨人を抑え、日本一となったのです。

 

えっ・・・何でこんなに熱く語るのかって・・・?!

 

はい。当時19歳だった私は、西武球場で、「ホットコーヒーにハンバーガーいかがですか?」の売り子のバイトをしていたのです。もちろん、仕事はちゃんとしていましたよ。当時の西武球場はドーム球場ではなく、日本シリーズは、ナイターではなくデイゲームで行われていました。しかし、日中でも肌寒いので、第6戦が行われた土曜日には、コーヒー522杯を売る、「UCCコーヒー」新記録を私が打ち立てたのです。今でも、この記録を破る者は出ていないとのことです。(たぶん)

 

ということで、日曜日のひとときに、昔の日本シリーズと私の自慢話にお付き合いいただきありがとうございました。