6さいのおよめさん

「6さいのおよめさん」という絵本があります。涙を覚悟して読まなければならない絵本ですが、この絵本の主人公「ケイコちゃん」の父親である、鈴木中人さんが書いた絵本です。

 

小児がんの娘が、仲良しの看護士さんの結婚式で「わたしと結婚する人はどこにいるんだろうね」「会いたい。けどちょっと、はずかしいね」と父と会話するシーンがあります。

 

残念ながらケイコちゃんは、6歳になった夏の日、天国に旅立ちました。

 

そして、父である鈴木さんは、「いのちの授業」を始めることを決めます。すでに、小学校や中学、高校、企業と1000回以上、延べ25万人に自らの体験を語り続けているそうです。

 

鈴木さんは、「いのちの授業」で、この絵本を読み、とても優しい口調で語り続けるのですが、最後に、訴えるように、むしろ怒鳴るような大きな口調で、「・・・だから、どんなことがあっても、お父さん、お母さんより、絶対早く死んではいけない!!」と2回繰り返します。聞いている方は「はっ」と、心にその言葉が突き刺さります。

 

ケイコちゃんが亡くなった日、2歳年下の弟は、冷たくなったケイコちゃんの両足をつかんで「お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん・・・」とずっと泣きながらケイコちゃんのことを叫び続けたそうです。

 

こんな小さな子に人の死を見せるべきではないと思う大人もいるかもしれません。しかし、父親の鈴木さんは、「大丈夫です。子どもは子どもなりに、必ず意味づけてくれる。いのちは自分だけのものじゃないんだよ。だから大切にしようね。死はつらく涙するもの。でも、それだけにいのちを育む尊い場になるのではないでしょうか」と語ります。

 

そして、「幸せは、誰かがプレゼントしてくれるものではありません。どこかで買えるものでもありません。本当に大切なこととは? どう生きるか? どう働くか? そう自分に問いかけてこそ実感できます。みんなで心を一つにして、『いのち』をみつめてみませんか。あなたと、あなたの大切な人の『幸せ』のために」と続けます。

 

身近の人の死、災害や事故による突然の死など、子どもたちに「いのち」の大切さを伝える機会はたくさんあっても、時が経つとすぐにその思いは希薄になってしまいます。何度も繰り返して、私たち大人は、子どもたちに伝えなければなりません。

 

そして、自殺という手段で命をなくしてしまう前に、子どもたちへ、「お父さん、お母さんより絶対早く死んではいけない」を届けないと・・・