ミライをつくった人①ナイチンゲール

今日からは、未来を担う子どもたちに、今の当たり前を作った人たちを紹介します。「凄い人だな~」と感心して終わるのではなく、これからの未来をつくる若者へのヒントにつながればと考えます。これを読んだ大人も、子どもたちに話をしてください。

 

よく企業などの組織では、「課題解決型の人間になりなさい」とよく言われます。私もサラリーマン時代は、そんな研修を受けた記憶があります。しかし、未来をつくる人は、あらかじめある課題を解決するのではなく、「課題を発見する」力を持たねばなりません。

 

「フローレンス・ナイチンゲール」をご存知ですか。そう、おそらく世界で一番有名な看護師ですね。彼女はイギリス人です。当時のイギリスは、ロシアとオスマン帝国(トルコ)のあいだで勃発したクリミア戦争に巻きこまれていました。そんな時に、34歳のナイチンゲールは、看護師団を率いて戦地へと向かいます。

 

「身の危険もかえりみず、祖国のために立ち上がった上流階級のヒロイン」としてイギリス全体が熱狂しました。ナイチンゲールのような上流階級の女性が看護師になること、しかも自ら志願して戦地におもむくことなど、当時のイギリスの人々にとっては信じられない出来事だったからです。

 

いったい彼女は戦地でなにを見て、なにを考え、どんな行動に出たのか?ナイチンゲールがその本領を発揮するのは、ここからです。

 

献身的な看護活動をしながら、ナイチンゲールが暴いた「戦争の真実」は、『戦場の兵士たちは、戦闘で亡くなるのではなく、劣悪な環境での感染症によって亡くなっていくのだいくのだ』ということでした。

 

しかし、ただこの状況を訴えるだけでは、政府や軍に対して「あなたたちは兵士を無駄な死に追いやっている」と苦言することになり、政治的なスキャンダルにもつながりかねません。

 

そこで、ナイチンゲールが使った武器が、看護師の道に進む以前から学んでいた「数学」であり、「統計学」だったのです。

 

ナイチンゲールは「コウモリの翼」と呼ばれる独自のグラフを考案し、死因別の死者数をひと目でわかるようにビジュアル化したのです。戦争の直接的な負傷による死者の30倍以上の兵士たちが感染症で亡くなっている事実を、当時ヴィクトリア女王が直轄する委員会へ「数学」による明確な事実を突きつけるのです。

 

こうして、ナイチンゲールは、戦場の兵士たちを救い、不衛生な環境に暮らす人々を救い、イギリスはもとより世界の医療、福祉制度を大きく変えていったのです。そこには、統計学者としてのナイチンゲールがあったからです。

 

どうですか・・・「課題を発見する人」になることで、子どもたちの中から新しい未来をつくる人材が生まれてほしいですね。

 

どうして「算数」や「数学」の方程式やベクトルやら微分積分の勉強が、大人になって必要なの?と子どもに聞かれたら、ナイチンゲールの話をしてみて下さい。

 

地球上には、たくさんの言語がありますが、「数字」だけは、世界共通の言語です。