沖縄諸島も小笠原諸島も、第二次世界大戦後に、アメリカから返還された歴史は同じですが、「沖縄に行った事がある」という人は多いですね。保育園では、毎年沖縄に行く園児もいます。
しかし、対照的に「小笠原に行った事がある」という人は、ほとんどいません。その理由は、明確です。民間の空港がなく飛行機で行けないからです。東京の竹芝桟橋から約1000キロ離れたところに、小笠原諸島の父島があり、小笠原丸という船で、24時間もかかります。
地球儀で、日本の裏側にある、ブラジルなどの南米諸国に行くのにも、そんなに時間はかかりません。しかも、小笠原は東京都です。
昭和43年6月26日に、小笠原諸島が日本に返還されてから、今日で50年が経ちました。せっかくなので、今日は、小笠原を感じてもらいます。
小笠原諸島は、今まで一度も大陸とつながったことがないので、独自の生態系を育んできました。ボニンブルーと呼ばれる小笠原の深く碧い色の海には、「ユウゼン」という固有の熱帯魚が泳いでいます。ペットショップでは、数万円の高値がつく希少な魚です。
梅の花の季節に、メジロが、花びらをついばんでいるシーンを。日本のあらゆるところで目にしますが、小笠原には、目のまわりが黒い「メグロ」という固有種の鳥がいます。
2011年の夏に、小笠原丸に乗って、家族で父島へ行きました。今の小笠原丸は3代目の最新の船ですが、私の時は、1000キロを平均時速40キロで航海するので、25時間の船旅でした。
しかし、25時間かけるだけの価値は十分にあります。船上からは、マッコウクジラが潮を吹くシーンを見ることができ、イルカも群れをなして船の横を泳ぎます。ザトウクジラが、海の上をジャンプするところは見られませんでしたが、アオウミガメと一緒に泳ぐ贅沢は忘れられません。
ナイトツアーでは、「オガサワラオオコウモリ」に遭遇しました。カラスぐらいの巨大なコウモリが、パンの木にぶら下がっています。砂浜を足で蹴ると、夜光虫が幻想的な光を放ちます。夜空を眺めているだけで、星が手にとれるようです。
小笠原最大の父島には、コンビニはありません。スーパーマーケットが2軒あるだけです。売られているパンは、何と、消費期限が切れています。そうです。島民が食べるパンは、小笠原丸で冷凍で運ばれるのです。小笠原の人たちは、消費期限など、あまり細かいことにはこだわりません。
毎日のデザートにパッションフルーツが出てきて、観光色が強い沖縄とは、全く違う姿がそこにあるのです。リゾートホテルもありません。民宿が中心です。
しかし、東京都の自治体の中では、小笠原村は一番平均年齢が若いのです。その理由は、簡単です。旅にやってきた若者が、小笠原に移住するからです。現在でも、人口も増え続け、合計特殊出生率(女性が一生のうちに子どもを産む数)も、全国平均を上回っているそうです。
無責任な意見で申し訳ないですが、船で24時間かけないと訪れることができないことが、この島の最大の魅力であり、空港はできてほしくないですね。もちろん、救急患者は、自衛隊のヘリで搬送されます。
どうですか・・・いつかは、小笠原へ行ってみたいと思いませんか・・・